遺体の前に残されたテープレコーダー
その男が遺体で見つかったのは、
自らの書斎だった。
頭を銃で撃ち抜かれており、
机に突っ伏した姿勢で、
男の手には銃が握られていた。
遺体の目の前にある机の上には、
テープレコーダーがある。
それを発見した刑事が、
再生ボタンを押してみた。
「私はもう生きていけない。
私には生きる理由が何もない」
という、
本人の声と思われるメッセージが聞こえ、
続けざまに銃声が鳴り響く音も。
刑事はこのテープレコーダーを聞いて、
自殺ではなく他殺であることを確信した。
そう、
これは自殺に見せかけた、
殺人事件なのだ。
(終)
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解説
仮にこれが自殺だった場合。
テープレコーダーに録音された銃声で
自らが頭を撃った後、
録音を止めてテープを巻き戻せる
わけがないのだ。
刑事は再生ボタンを押した『だけ』である。
つまり、
遺体となった男以外の誰か(犯人)が、
テープを巻き戻したことになる。
自殺に見せかけるために・・・
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死後テープが録音状態で最後まで回る。
止まったあと機種や設定によってそのまま巻き戻されるものもある。