挨拶
長野県にある奥穂高岳山頂を目指して、
3人で歩いていた時の話。
私は先頭を歩いていたが、後ろがバテ始めている様子なので、
ペースを作りながら、どこで休憩をとるか考えていた。
すると、
前方からクライマーが駆け下りてくるのが見えた。
背中には何も背負わず、腰にガチャ物だけをぶら下げて、
ガチャガチャと音を立てながら軽快に駆け下りてくる。
普通は登りが優先なのだが、当時そういうマナーを尊重しないクライマーは、
結構多かったので、私はバテていたのも手伝って、思わず道をあけた。
すると、「こんにちはー!」と、
明るい声で挨拶が飛んできた。
はっきり言ってクライマーの、この手の挨拶は期待していなかったので、
私は半分びっくりしながら、「こ、こんにちは!」と、挨拶を返した。
その直後、私が歩を止めたので、立ち止まった後ろの仲間が、
「お前、誰に挨拶してるんだ?」と・・・。
「えっ?」
っと思って振り返るが、そこには誰もいなかった。
幻覚に襲われるほど体力は消耗していなかったので、
あれはきっと生きている人ではなかったのだと思う。
(終)
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こういうヤツほどマナーがいいw