山と川で100年ずつ修行すると龍になれるヘビ
これは、今生きていたら90歳になる婆様から昔に聞いた話。
今から150年ほど前の東北の田舎でのこと。
当時の地元の山は、山菜を採りに行くにもあまりに『ヘビ』が多すぎて、誰もが入山できなかったそうな。
そこで、村の衆は相談して神社へお願いに行った。
人間に見られると龍になれない
それから何日かして大雨が降った。
その後、近所の爺さんが雨が止んだ頃に入山してみたら、大雨の影響で鉄砲水に遭ってしまった。
※鉄砲水(てっぽうみず)|参考
山地や中山間地の小流域などで発生する急激な出水や増水。(Wikipediaより引用)
爺さんはそのまま川に流され、流木に流され、海まで流された。
その時、一緒に大量のヘビも流されていた。
よく見ると、大小様々なヘビが流されている。
また、近くを一番大きなヘビが流されていた。
そのヘビは他のヘビとは違っていた。
体長は人間の大人を縦に10人くらい並べた程あり、口からはヒゲを生やし、頭からは短いが角らしきものが生えていた。
さらにヘビの頭の上には、仙人のような者が立っている。
すると、その仙人が話かけてきたそうな。
「ワシはこのヘビじゃ。ワシを見たことは誰にも言ってはならん」
爺さんは「何故ですか?」と聞いた。
仙人は、「ヘビは山で100年、川で100年の修行をすると龍になる。その間、人間に見られると龍になれない。だから話すな。話したら殺すぞ」と。
爺さんは「話しません」と約束した。
しかし、命拾いした爺さんは村に帰り着くや、かなり興奮した様子でベラベラ話したそうな。
それから少し経った頃、爺さんは“突然死”した。
あの仙人を見てから、ちょうど49日目だった。
また、死ぬ前は何かに酷く怯えていたという。
ちなみにその爺さんは、この家の先祖の爺さんだということを婆様から教えてもらった。
そんな不思議な出来事にも、私は「へぇ~実話なんだ~」と思うくらいだった。
(終)