白い部屋の中に

怖い話が昔から好きだったんだ。

その日も気づけばテレビの前に居た。

 

でも、どこからその番組のことを知ったのか、

全然思い出せない。

 

どこからか冷たい風が吹いていた。

 

カチッと、テレビのスイッチを押した。

ちょうどそのチャンネルだったらしい。

 

明らかに普通のバラエティ番組とは

違う雰囲気だ。

 

・・・血の垂れた女が、

だらんと壁にもたれ掛かっている。

 

窓も何もない、

真っ白の正方形の部屋らしい。

 

しばらく見ていたが、

場面が変わる様子がない。

 

さすがに気味が悪くなってきたが、 

テレビの電源が切れない。

 

なぜだ。怖い。怖い。

 

俺は部屋から飛び出した。

 

・・・ベットに潜り込み、

いつのまにか寝てしまっていた。

 

目が覚めると、

まだ辺りは真っ暗だった。

 

・・・怖いんだけれど、

さっきのテレビが気になって

仕方がない。

 

引っ張られるように

テレビの方へ向かったんだ。

 

さっきと同じテレビは、

まだついたままだ。

 

だけど明らかに、

さっきと違うところがあった。

 

・・・女が居ない。

 

全身から血の気が引くのがわかった。

 

後ろに居る。

直感でわかった。

 

耳元で女の声がする。

 

「さびしいの・・・」

 

俺はそのまま気絶したらしい。

 

太陽の光が窓から差し込み、

目が覚めた。

 

良かった、夢だったのか。 

すごい汗をかいている。

 

夢・・・?いや、違う。

 

テレビがついている。

決して夢なんかじゃない。

 

昨日の夜と同じように、

女はその中に居た。

 

手が画面の端から出ている。

 

女の横にもう一人、

人が増えているのに気がついた。

 

男だ。

 

次第に、その男の顔が

アップになっていく。

 

俺はその男を知っていた。

毎日、鏡で見ている顔だった。

 

気が遠くなっていく。

 

気がつくと、白い部屋の中に居た。

 

2人じゃ寂しいな。

誰かこの部屋に呼ばなくちゃ。

 

(終)

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