耕作放棄地の中から出てきた変なもの
これは、うちの田舎にある耕作放棄地の話。
以前にネットの某掲示板で、“放置された山奥の畑に正体不明の隆起ができている”と見たことがあったので、去年の夏休みに帰省した際、山歩きがてら見に行ってみた。
すると、そこには幾つかの隆起が発生していた。
その時は、「へー、本当にこんなこともあるんだな」と感心するだけだった。
だが、年末に帰省した時にもう一度見に行ってみたら、事態は変わっていた。
なんでも、あの後に「その畑を借りたい」という田舎暮らし志願の人が現れて、それでは…ということで整地し直したそうな。
当然、件の隆起も崩されたが、中から変なものが出てきた。
まず、痛んではいるものの、元はかなり豪華だったと思われる“布団の地層”、その下に焼かれた形跡のある明らかに人の手が加わった“木材や竹”、さらに下にかなり大きい“動物の骨”が何本も。
動物の骨については、整地を手伝ってくれた狩猟免許を持っている土建屋の人が言うには、鹿か猪。
付け加えると、その山で目撃される動物は最大クラスでも狸がせいぜいで、そんな大物は何十年も出ていないから他所から持ち込んだのだろう、と。
何かの儀式のようなことをしたのは、誰の目にも明白な状態だったらしかったが…。
結局、皆が気味悪がりはしたものの、何か思い当たることもなく、今のところは特に変わったことが起こっているわけでもないので、全て焼却処分された。
その土地を借りる人も、もう移住する手続きやらを済ましているし、そういったことは気にしないので、来年から予定通り農業を始めると言っているそうな。
少し気になった私は、地元の友人にそれとなく聞いてみた。
すると、そういう話は聞いたことないが、耕作放棄地は不法投棄や不法占拠されることが多いから注意するようにしている、とは言われた。
それ以上は私に調べたり出来るわけでもないので、休みが明けたら仕事先に戻ったが、もし長らく放置している土地を持っている人は、たまにはそこがどうなっているか確認しに行ってみた方がいいかもしれない。
考察
動物の骨や皮が付いた肉を限界まで焼いたことがある人はわかると思うが、とにかく臭い。
何のために焼いたのか、そもそも何に使ったのか。
不明なことは多いが、焼いたものの上から布団を被せ、さらに土を盛るのは、おそらく臭いが周囲に漂うのを防ぐためではないだろうか。
臭いにつられて他の獣や人間が寄って来ないように。
現場の状況から、呪いなどの儀式めいたものではなさそうなので、単に使用済みの獣肉を処分するために土地が無断で使われた、ということなのかもしれない。
また、深く掘って埋めるような土葬でもなく、わざわざ布団を使用している点でも、墓という意味合いもないだろう。
(終)