振り向けなかった理由
これは、私が中学生の頃の体験話。
故郷はその昔、小さな城下町だった場所。
いつも一緒の6人と、その日も私の家で遊んでいた。
時刻は午前2時。
その時、その中でも私と仲の良い優子が「やっぱり帰る」と言い出した。※仮名
仕方がないので、5人がずらずらと自転車で送ってあげることに。
途中にはアーケードの商店街。
そこを抜けてすっと暗くなった頃から、優子の自転車のスピードがおかしくなっていった。
「優子?」
呼びかけるも、私たち5人を置いて先へ先へと行っている気がした。
「優子!」
「ねぇ、優子!!」
「優子ってば!!!」
優子は何度呼んでも振り向かず、とうとうそのまま家に着いた。
そして、私たちの方を振り向きもせずに玄関を閉めた。
怒った私は次の日、優子を問いただした。
すると、「最初に名前を呼ばれた時、振り向いたら荷台に知らない女の人が乗っていたから振り向けなかった」とか…。
(終)
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