葬儀会場のトイレで出会った泣く少女
これは、彼女の体験談。
中学生の頃、祖母が亡くなった。
お通夜が行われている時、その葬儀会場では他の方のお通夜も行われており、人は結構いた。
そして夜中、彼女はトイレの便座に腰を下ろし、泣いていた。
すると、トイレ内の手洗い場あたりから泣き声が聞こえてきて、「ああ、この人も私と同じような境遇の人なんだ」と思ったという。
涙を拭って個室から出ると、その人は自分と同じ中学生ぐらいの子だった。
その子は彼女の顔をじーっと見つめたまま泣き続け、その顔を見ていると自分も悲しくなった彼女は、軽く会釈をしてトイレを後にした。
そして祖母のお焼香をしようと部屋に向かっている時に、背筋が凍った。
隣の方の遺影が、どう見てもさっきトイレで会った女の子だったから。
よく考えてみると、人の顔をあんなに凝視しながら泣くことに違和感は感じた。
その後、遺族の方にお願いをして、手を合わせてきた。
ちなみにその子は病気で亡くなったそうで、あんなに悲しい顔をした人間は未だに見たことがないと彼女は言う。
(終)
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