ドア一枚隔てた向こう側に

3年前くらいの話です。

 

その日は体調が悪く、

学校を休んで家で寝てたんです。

 

うちは親父もお袋も

働いていて、

 

兄弟はみんな学校に行ってしまって

一人きりでした。

 

ふと目が覚めて

しばらくぼ~っとして、

 

喉が乾いたので冷蔵庫に

ジュースを取りに行ったら、

 

(うちは二階建て)

 

階段を上がってくる

音がしたんです。

 

誰か帰って来たのかなと思って、

普通に気にしてませんでした。

 

でもちょっとおかしいんです。

 

うちの階段は

10段あるんですが、

 

明らかにその数を上るより、

多く音が聞こえるんです。

 

カタン、カタン・・・

 

何度も登り降りしているみたいで

明らかにおかしい。

 

ビビってとりあえずドアの鍵を

カチッと閉めたんです。

 

そうしたら、

その音に気付いたのか、

 

登り降りする音が

フッて止まったんです。

 

ほんの一瞬の静寂っていうか

シーンとしたんです。

 

僕、ここで少し気抜いちゃったのが

いけなかったんです。

 

今度は、ほんとに

上がって来たんです。

 

やばいと思ったんですけど

何を思ったのか、

 

ずっとドアを睨んでました。

 

ドアの前まで来て

止まったんです。

 

板一枚隔てた向こうに

何かいるんです。

 

僕はずっと、

ドアを睨み続けました。

 

するといきなりドアノブが

ガチャガチャいい始めたんです。

 

僕は必死にノブを押さえました。

 

力いっぱい押さえても、

ガチャガチャいってるんです。

 

何時間そうしてたかは

分かりませんが、

 

気が付くと普通にドアの前で

寝ちゃってたみたいで、

 

夢かと思ったんです。

 

それにしてもリアルな夢

だったなと思いました。

 

しかし次の瞬間、

事実だったのだと確信しました。

 

ドアには鍵が掛っていたのです。

 

冷や汗が出ました。

 

でも鍵が掛っていたので

諦めたんだと思い、

 

ちょっと安心しました。

 

だけど内側からしかノブは

回らないんだ。

 

(終)

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