私と一緒に居た人

小学6年生の頃のことです。

 

私は九州のM崎県のN岡という所に

住んでいました。

 

当時、私が住んでいる町内は

外灯もあまりなく、

 

夜になると真っ暗になる

状態でした。

 

夏休みも終わりかけた

ある夜中、

 

たくさんの消防車と救急車の音で

目が覚めました。

 

どうやら近くで火事が

あったようなのですが・・・。

 

私はとにかく眠かったし、

あまり興味がなかったので、

 

スルーしてそのまま

寝てしまいました。

 

次の日、10日に一回ある

登校日だったので学校に行き、

 

教室に入るとクラス全員が

なぜか泣いていました。

 

どうやら、昨日の火災は

私のクラスの男子の家だったようで。

 

その男子と中学3年のお兄ちゃんが

亡くなったということでした。

 

お葬式を終え、

 

改めてクラス全員で

花を持ち寄って献花しに行こう、

 

となったのですが。

 

私はうっかり持って行くはずだった

花を家に置き忘れてしまい、

 

私だけただ手を合わせるのみに

なってしまいました。

 

家に帰り、

夕食を終え、

 

お風呂に入った後、

花のことを思い出し。

 

夜も遅くなっていましたが

花を供えに行こうと思い、

 

一人で自転車に乗って

出掛けました。

 

真っ暗な道、

 

自分の自転車のライトだけが、

ぼんやり左右に揺れていました。

 

5分~6分くらいで

その家跡に辿り着き、

 

自転車を降りて

改めて見ると・・・。

 

昼間見たときより

悲惨に見えて、

 

恐ろしくなり花を添えて

早々に帰ろうと、

 

自転車に手をかけたとき。

 

自転車で巡回中のおまわりさんに

声をかけられました。

 

「おじょうちゃんたち、

こんな夜遅く何してるの?」

 

「ここ、私の同級生の家

だったんです・・・」

 

「そうけぇ、・・・早く帰りなさいね」

 

「はい」

 

私はすぐに自転車にまたがり、

帰路に着きました。

 

・・・が、私は

気が付いてしまったのです。

 

私は先ほども書きましたが、

一人で行ったんです。

 

それなのに、おまわりさんは

「おじょうちゃんたち」と・・・。

 

怖くなり、全力で

ペダルを漕いで家に帰り、

 

母の怒った声を無視して

布団に潜り込んで、

 

お経を唱えていました。

 

あのおまわりさんは一体、

誰を見ていたのでしょうか・・・。

 

(終)

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