幼い二人の女の子が交換した人形

人形

 

AちゃんとBちゃん、

 

とても仲の良い

二人の女の子がいた。

 

二人ともまだ幼くて、

よく人形遊びをしていた。

 

そんな二人にも、

別れの日が来た。

 

Aちゃんが家族と一緒に

引っ越してしまう事になった。

 

別れの日、

二人は泣きながら別れを惜しんだ。

 

そして、

 

いつも遊んでいた

それぞれの人形を交換し、

 

また会う約束をして別れた。

 

でも・・・

その引越し先に行く途中、

 

交通事故でAちゃんの家族全員が

死んでしまった。

 

その話を聞いたBちゃんは、

とても悲しんだ。

 

その事故が起きてから

一年くらい経った頃、

 

Bちゃんが偶然読んだ本に、

 

死人を生き返らせる方法が

書いてあった。

 

それは、

 

生き返らせたい人間の

名前を書いた御札を、

 

作った泥人形に入れて

呪いをかけると、

 

数日後に生き返るというものだった。

 

Bちゃんは何でもいいから

Aちゃんともう一度会いたくて、

 

その方法を実行した。

 

それから数日して、

 

両親が夜に用事があって、

家にはBちゃんだけが残った。

 

夜も遅くなった頃、

玄関を叩く音が聞こえた。

 

最初は怖がってたんだけど、

玄関の向こう側から、

 

「Bちゃ~ん遊ぼうよう」

 

って声が聞こえてきた。

 

その声は明らかに、

Aちゃんの声だった。

 

本当にAちゃんが生き返った

と思ったBちゃんは、

 

急いで玄関を開けようとした。

 

その時、

 

「開けちゃダメ!」

 

という声が、

後ろから聞こえてきた。

 

・・・Aちゃんの声だった。

 

その声にびっくりして

後ろを振り向くと、

 

自分の部屋に置いているはずの

Aちゃんから貰った人形があった。

 

それを見た瞬間、

 

玄関の向こうにいるものが

Aちゃんではないような・・・

 

そんな気がしたBちゃんは、

急に怖くなった。

 

Bちゃんは人形を持って、

自分の部屋に逃げた。

 

自分の部屋の隅っこで怯えながらも、

 

守ってもらうように

人形を大事に持っていた。

 

その間もずっと、

玄関を叩く音が聞こえてくる。

 

そのうちに、

 

疲れ果てたBちゃんは

眠ってしまった。

 

しばらくすると、

帰って来た母親に起こされた。

 

母親が玄関がおかしいと言い、

 

Bちゃんは怖がりながら

母親と玄関に行った。

 

そこは一面、

泥だらけになっていた。

 

Bちゃんは怖くて

泣き始めたんだけど、

 

その泥の中に、

人形のような物を見つけた。

 

それは、

 

BちゃんがAちゃんに

あげたはずの人形だった。

 

さらにその人形には、

変なところが二つあった。

 

一つは、

 

前後にしか動かないはずの人形が、

 

まるで家を守るかのように

背を向けて両手を開いていた事。

 

もう一つは、

 

その人形は金髪だったのに、

Aちゃんと同じ黒色になっていた。

 

(終)

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