鍵を閉めたはずの扉がゆっくりと開き・・・
これは3か月前に、家族で中古の一軒家に引っ越してからの話です。
内装はとても綺麗で、リノベーションしたようでした。※リノベーション=リフォームと比べて大規模な建物の改修のこと
そんなある日の夜、布団の上で横になっていると、突然『金縛り』にあったかのように動けなくなりました。
その直後でした。
玄関のチャイムが鳴り、鍵を閉めたはずの扉がゆっくりと開いていることに気づきました。
次の瞬間、これまで聞いたこともない地鳴りのような低い声が、玄関からゆっくりと近づいて来ます。
階段を上り、私の部屋の前まで来たのがわかった時、またゆっくりと扉が開きました…。
まるでテレビの音量を上げ過ぎたような不安な声が、さらに大きくなりながら近づいて来ていたのです。
真横にまで来ると私の上に乗りかかり、重さも感じました。
そしてついには私の上に倒れ込み、私と重なりました。
その瞬間に私は意識が途切れ、気づいた時には朝でした。
そんな奇妙な夜の出来事を、引っ越したばかりだったこともあって、親に話すことはしませんでした。
ここは関西のお寺が多い地域なので、聖域のような感じで安心かなと思っていたのですが、よく考えればお墓も多く、そういうことも度々あるのでしょうか。
今はただ、今後の生活がとても不安です。
(終)