中学時代からの女友達との話 2/3

猫

 

俺と順一は適当に話してたけど

佳織はあまり話さず、

 

何か様子がおかしいな

と思っていたら、

 

順一と途中で別れた途端に、

 

「うえぇっ」と小さく声を出して

うずくまってしまった。

 

「おい!佳織!

どうしたんだよ!?」

 

佳織は口を押さえて、

涙を流していた。

 

「どうしよう・・広志君・・・

どうしよ・・・。

 

順一君、

死んじゃうかも・・・

 

ぅえっ・・・」

 

「はあ?

 

な、何言ってるんだよ。

ちょっと落ち着け。

 

気持ち悪いんか?」

 

「どうしよう・・・」

 

「どうしようって・・・

何なの、一体?」

 

「順一君はやってないだろうから

多分親戚とかだと思うけど・・・

 

人殺してるよ、

ここ最近で・・・。

 

凄い恨まれてる。

 

多分、順一君にも

回って来ちゃうよ・・・

 

死んじゃうかも・・・」

 

「・・・」

 

ゲーゲー吐きながら言う

佳織の背中をなでながら、

 

以前のこともあり、

俺はかなりびびっていた。

 

でもまさかそんな・・・

という気持ちも強かった。

 

たまに通りかかる人が

変な目で見てたので、

 

この日は佳織を落ち着かせて

帰った。

 

夜に佳織から電話があった。

 

「明日、

 

順一君の身につけているものを

持って来て欲しいんだけど・・・

 

出来ればシャツとか・・・」

 

「え?

何に使うの、それ?」

 

「明日・・・私・・

学校休むけど、

 

広志君、

 

学校終わったら

順一君のシャツ持って

 

○○公園(近くの森林公園。寂れてる)

に来てくれないかな。

 

絶対に持って来てね。

絶対!」

 

「あ・・あぁ・・・」

 

何か分からないうちに

頼まれてしまったけど、

 

帰りのこともあったし、

言う通りにしてみた。

 

シャツとかなんてどうやって

手に入れようかと思ったが、

 

体育着を忘れたことにして借りて、

洗って返すということで手に入れた。

 

森林公園では佳織が待っていて、

 

俺が体育着を持って来たことを

確認すると、「・・・こっち」と、

 

林の中に連れていった。

 

ちょっと歩くと、

 

葉の落ちた木がたくさん生えていて

不気味だった。

 

さらに不気味なことに、

 

連れていかれた林の中の

広場みたいなところに、

 

ちょっと大きめのハンマーと

ダンボール箱が置かれてて、

 

箱の中から猫(それも複数)

鳴き声が聞こえていた。

 

「佳織、何あれ?猫?」

 

「うん・・・」

 

ダンボール箱を開けると、

猫が四匹(野良猫?)入っていた。

 

「ねえ、何するの?一体」

 

「・・・これから、

 

順一君の身代わりを

作ろうと思ってるの。

 

お願い!手伝って!」

 

「な、何?身代わりって?

分かんねー」

 

「大丈夫、すぐ終わるし。

 

広志君に頼むのは

簡単なことだから」

 

とりあえず、

言う通りにしてみた。

 

言われたことは本当に簡単で、

 

一匹の猫に順一の体育着を

着せるようにして包み、

 

地面に抑えるようにしていてくれ、

ということだった。

 

「それで、

 

順一君はここにいるって

強く思って。

 

声に出しながらがいいかな、

・・・多分」

 

「ああ。分かったけど・・・」

 

体育着に包まれてくぐもった

声をあげる猫を抑えつけ、

 

言われた通りにした。

 

「ちゃんと抑えててね」

 

「え?佳織、それ・・・」

 

俺が猫を抑えると、

 

佳織が置いてあったハンマーを持って、

いきなり振り上げた。

 

一瞬だった。

 

ボキャッと嫌な音がして、

猫は鳴かなくなっていた。

 

体育着に包んでいたおかげで

どうなっているか見えなかったが、

 

頭のあった辺りがどんどん

赤く血に染まっていて、

 

シャレにならなかった。

 

「お、おまぇ、何?

ぉぇっ・・・ぅ・・ぅ」

 

「待って!

まだ我慢して!」

 

俺が吐きそうになっていると、

 

佳織は猫を体育着の中から

ずるりと取り出して、

 

次の猫を包んでいた。

 

地面に置かれた死んだ猫は、

 

頭が見事に砕けていて、

たまに痙攣し、

 

それが見えてしまった俺は、

とうとう吐いてしまった。

 

(続く)中学時代からの女友達との話 3/3へ

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