溜まり場となっていた廃神社にて 1/4

廃神社

 

これは高校3年の時の話。

 

俺の住んでいた地方は田舎で

遊び場がなかったので、

 

近所の廃神社が遊び場というか、

溜まり場になってたんだよね。

 

そこへはいつも多い時は7人、

少ない時は3人くらいで集まって、

 

煙草を吸ったり酒を飲んだり、

たまにギター持って唄ったりしていた。

 

その廃神社は人が全く来ないし、

 

民家や商店がある場所からは

結構離れていたから、

 

高校生の俺達には

もってこいの溜まり場だった。

 

ある日、学校が終わって、

 

その日も自然と

廃神社に溜るかぁみたいな流れで、

 

俺と他の3人の計4人で、

自転車で廃神社に行ったんだ。

 

時間は夕方4時過ぎくらい。

 

そこで煙草を吸ったり、

ジュースを飲んでたりしていた。

 

季節は11月頃で、

ちょっと寒いなぁなんて言いながら、

 

くだらない話に花を咲かせて

溜ってたんだよね。

 

そしたら、

ザッザッザッザッって、

 

神社の入り口から

足音が聞こえてきたんだ。

 

最初は他の連れが溜まりに来たのかなぁ

と思ってたんだけど、

 

神社の境内に入ってきたのは、

70代位のおばあさんだった。

 

俺を含めた4人とも、

会話がピタッと止まってね。

 

その廃神社に溜まり始めたのが

高校1年の頃からで、

 

約2年間も溜まり場にしてたけど、

 

これまで一度も人が来たことが

なかったので、

 

ビックリしたというか、

 

人が来ること自体が意外

だったんだよね。

 

俺たちは神社内の端側にある、

段差のある場所に溜まっていたので、

 

おばあさんは俺たちの存在に

気づいていない。

 

俺や俺以外の連れも、

 

なんとなくバレたらいけない

気がしてたのか、

 

みんな黙ったままジッと、

おばあさんを見てた。

 

おばあさんは神社の賽銭箱の

前に立って拝んでいた。

 

(賽銭箱には落ち葉やゴミしか

ないのは2年前にリサーチ済み)

 

拝んでいた時に、

 

聞き慣れない言葉で

何かを呟いていた。

 

1分くらい拝んだ後、

賽銭箱の後ろの方に、

 

片手に持っていた鞄を置いて

帰っていった。

 

「おぉ、ビックリした!」

 

「まさか人が来るとは(笑)

 

「ちょっと怖かった~」

 

とか話してたんだけど、

 

当然気になるのは、

おばあさんが放置した鞄。

 

俺はなんとなく嫌な予感が

してたんだけど、

 

連れのAが

賽銭箱のところまで走って、

 

鞄を持ってきた。

 

「札束が入ってたりして(笑)

 

とか言ってるんだけど、

 

俺はわざわざ神社に

置き去ったものだから、

 

ロクでもないもんなんだろうなぁ

と思って、

 

「そんなもん、

あそこに置いとけよぉ~」

 

とか言ったんだけど、

他の3人は興味津々。

 

仕方なく、

A達が鞄を開けるのを見ていた。

 

「なんだコレ?」

 

と言うBの手には、

古新聞。

 

相当古そうなのは新聞の黄ばみ方で

分かったんだけど、

 

記事はよく覚えていない。

 

「なんたら座礁」

「○○が逮捕」

 

みたいな文字が書いてあったのは

覚えている。

 

新聞の日付は、

1972年って書いてあった。

 

「なんで24年前の新聞が・・・」

 

ってみんな不思議がってた。

 

Cもちょっと気持ち悪く

なったのか、

 

「やめとくか?」

 

と言い始めたんだけど、

 

AとBはさらにガサゴソと

鞄を物色し始めた。

 

今度は財布。

 

Aは、

 

「おぉ、金入ってたら○○ストアで

酒買って宴会するか(笑)

 

と言いながら財布を開けた。

 

見た事もない札(外国の札)が一枚と、

お守りとレシートと紙切れが入っていた。

 

AとBはすぐに興味なくして、

 

「なんだよ~

金入ってねぇよ」

 

と言ったんだけど、

 

俺は中身に興味があったので、

Cと一緒に見てみた。

 

お札はたぶん中国か韓国の

かなり昔の札。

 

レシートはボロボロでよく読めない。

 

お守りには梵字みたいな、

たぶん梵字ではないけど、

 

中国語か韓国語で書かれた

お守りかなぁって感じの物。

 

俺とCが財布をくまなく

調べていると、

 

Aが鞄の中から

小さな木製の箱を取り出した。

 

「なんだよコレ!

お宝っぽくないか!?」

 

と言って、

 

Aは開けようとするんだけど、

開かない。

 

俺は、

 

「やめとけよ。

 

どうせロクなもん

入ってないって」

 

って止めて、Cも、

 

「気持ち悪くなってきた・・・」

 

って言うのに、

 

AとBは必死に

開けようとしている。

 

最初はコイツら馬鹿だなぁって

思ってたんだけど、

 

AとBはその箱を

地面に叩きつけたり、

 

二人が引っ張り合いを

し始めたりして、

 

開けようとする行為が

段々と激しくなり始めた。

 

「ちくしょぉ、

開けよコノヤロ~」

 

「なんで開かないんだよぉ」

 

AとBはそう叫びながら、

 

必死に木箱を開けようと

してるんだけど、

 

その姿が尋常じゃない

感じになってきて、

 

俺もCも唖然として見ていた。

 

力づくでやめさせようとしても、

目が血走っていて必死なんだ。

 

(続く)溜まり場となっていた廃神社にて 2/4へ

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