予定外の貸し別荘での宿泊にて 1/3

別荘 二階建て

 

2年前の話。

 

この話は口止めされている内容のため、

具体的な場所などは書けません。

 

具体的な部分は殆ど省くか暈しているので、

それでも良いという方だけお読みください。

 

高校3年の夏休みの事。

 

俺と友人の5人は、

 

受験勉強でかなり疲れが溜まっていた事や、

高校最後の夏休みということもあって、

 

どこかへ旅行に行こうと計画を立てた。

 

ただし、

もう夏休みに突入していた為、

 

観光地はどこもキャンセル待ちの様な状態で、

宿泊地を探すのにかなり苦労した。

 

そしてやっとの事で近畿地方の高原のような

観光地のペンションに、

 

まだ空きがあるという情報をネットで見つけ、

 

騒いでも苦情が無いならどこでもいいかと

即決でそこに決めた。

 

旅行当日。

 

早朝に出発し、

昼前に現地に到着したのだが、

 

そこで少し問題が起きてしまった。

 

どうやら、

 

旅行代理店とペンションの管理組合との間で

伝達ミスがあったらしく・・・

 

俺達は今日から2泊3日で

予約していたにも関わらず、

 

ペンションの方には宿泊予定が

今日から3日後と伝わっていて、

 

今は満室で一つも空いていない、

と言い出した。

 

俺達はここまで来てそれはないだろう、

と文句を言うと、

 

最初は麓の町にあるホテルなどを

紹介されたが、

 

俺達はただ観光に来たわけではなく、

 

夜中に騒いでも苦情が来ないような

場所が条件だったため、

 

かなり食い下がった。

 

するとペンションの人が、

 

「じゃあ、

ちょっと待っていて欲しい」

 

と携帯でどこかへ電話をし始めた。

 

電話の内容はよくわからなかったが、

なんとなくかなり揉めていた。

 

そのまま15分ほど電話をしていたが、

どうやら話がまとまったようで、

 

「近場に貸し別荘があるので、

そこでどうだろうか?

 

料金はこちらの不手際なので、

ペンションの代金の3割引でいい」

 

と言ってきた。

 

俺たちは「まあそれなら」と納得したが、

そこから少し雲行きが怪しくなった。

 

どうもその貸し別荘は長い間

使われていなかったらしく、

 

準備や掃除に少し時間がかかるらしい。

 

その間、俺達には交通費と

水族館の割引券を渡すので、

 

そこで時間を潰して、

夕方にまた来て欲しいとの事だった。

 

その水族館はペンションのある場所から、

かなり離れていた。

 

というか、

県外の某大都市にある水族館で、

 

俺達が見終わって戻って来る頃には

午後6時近くになっていた。

 

「こんなに準備に時間かかるって、

どれだけ放置されていたんだよ」

 

「廃墟とかじゃねえよな?」

 

「なんか怪しいんだけど」

 

などと不安を口にしながら、

俺達は管理事務所に向かった。

 

ペンションに戻って来ると、

先ほどとは違うおじさんが待っており、

 

準備が出来たので案内すると、

 

歩いて15分ほど離れた、

森の中にある別荘へ案内された。

 

そこは本当に完全に森の中で、

周囲には何も無く、

 

よほど大声で騒いでも、

まず苦情が来ないような場所だった。

 

そのおじさんが言うには、

 

暫らく使われていなかったので

段取りに手間取ったが、

 

電気も水道もガスもちゃんと通っているし、

 

携帯は通じないが、

管理小屋への直通の電話もある。

 

何の問題も無いと、

しきりに説明をし始めた。

 

俺達は何かおじさんに必死さが感じられて

かなり不安になってきたが、

 

今更どうしようもないので、

別荘の中に入った。

 

別荘は外観もそうだったが、

洋風のかなり古い造り。

 

築30年か40年くらい経っていそうな建物で、

インテリアもそれに見合ってかなり古臭い。

 

ただ、使われていなかったというわりに、

かなり小奇麗だった。

 

今から思うと小奇麗と言うよりは、

 

『人が使った痕跡が殆ど無い』

 

と言った方がいい感じだったが。

 

一通り別荘内の説明を聞き、

 

建物も二階建てで広いし、

まんざらでもないなと荷物を降ろた。

 

夕飯のバーベキューの準備を

しようとしていると、

 

案内役のおじさんが去り際に、

おかしな事を言い出した。

 

ここは夜中に熊が出る可能性があるので、

深夜の外出は控えて欲しいという。

 

俺達はなぜか、

 

かなり念入りに深夜の外出をしない事を

約束させられた。

 

ペンションの密集地から15分しか

離れていないこんな場所に?

 

と皆が疑問に思ったが、

 

まあ恐らくガキが夜中に出歩いて、

問題を起こしたり事故に遭うと面倒なので、

 

怖がらせるような事を言って

脅かしているのだろうと納得した。

 

一日目はそんな感じで過ぎ、

 

晩飯を食った後で夜中の森の中を

適当に散策し、

 

花火をしたりゲームをしたりと遊んで、

深夜2時頃に寝た。

 

その日は特におかしな事は無かったのだが、

 

次の日、

友達の一人が変な事を言っていた。

 

そいつは夜中に小便がしたくなり、

 

トイレに行くと、

外から太鼓の音が聞こえてきたらしい。

 

俺達は何かの聞き間違いだろう

と言ってそのまま流し、

 

本人も気のせいだろうと納得したが、

その日の夜に事件が起きた。

 

その日、晩飯の焼肉を食い、

腹も一杯になったし暇になり、

 

特にする事が無かった俺達は、

昼間に見つけた林道へ肝試しに行く事にした。

 

肝試し中は何事も無く、

俺達はつまんねぇなと別荘に戻ると、

 

入り口に20代後半くらいの男が立っていて、

ドアノブを握っている。

 

時間は夜10時頃。

 

こんな時間に管理人の人が来るとも思えず、

空き巣か?と俺達は近付いていったのだが、

 

その男はドアノブを握ったまま、

こちらを振り向こうともしない。

 

(続く)予定外の貸し別荘での宿泊にて 2/3

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