越してきて10年経った今でも謎のこと
これは、少し奇妙な体験をしている話。
今のマンションに引っ越して10年。
ちょっとした都市のベッドタウンのような場所で、駅から近くて環境も良い。
ただ毎年の夏が終わり秋に入る頃、必ずどこからか『お囃子の音』が聞こえてくる。
お囃子の音と言っても太鼓だけなのだが。
最初はどこかの学校のブラスバンドか、近所のお祭りの練習かな?と思っていた。
越してきて数年もすれば近所の人とも顔見知りになるので、お囃子の音について聞いてみた。
だが、誰も「そんなの知らない」と言う。
よくよく考えてみれば、確かにここ10年の間、近所でお祭りなんて見たことがない。
小中学校もマンションから遠くにあるため、大きな音を出していたとしても聞こえてくるはずがない。
学校に通っている近所の子に聞いてみたが、「そんな練習はしていない」と言う。
では一体、お囃子の音はどこから聞こえてくるのか?
10年経った今でも謎のまま。
異世界に関する様々な話でも、度々出てくる謎めいた祭囃子の音。
そこでよく言われているのが、『音がする方へは決して行ってはいけない』ということである。
(終)