鳶職人のベテランと見習いの奇妙な会話

足場

 

鳶職の人をDQNと言ってはいけません。

 

彼らにも彼らなりの、

仕事の仕方があるようです。

 

ある日の夕方、

犬の散歩に出かけた時の事。

 

近所に古い家があるのですが、

ようやく改築する事になったらしく、

 

鳶職の人たちが足場を一生懸命に

組み立てていました。

 

「お疲れさまです」

 

と、心の中で言いながら

通り過ぎようとしたら、

 

ちょっと面白い話が聞けました。

 

ベテランの鳶らしい

50代ぐらいの職人さん(A)と、

 

いわゆるDQNと呼ばれるような、

 

金髪の派手な鳶職ズボンをはいた

20代前半の職人見習い(B)の会話。

 

A「こういう家に足場組む時は、

ぼけっとしてちゃダメなんだよ。

 

(命綱)があっても

しっかりしとけよ」

 

B「はぁ・・・。分かりました」

 

A「ぼさっとしてると引っ張られるんだよ。

それで転落したらまずダメなんだ。

 

あとな、何か変なもん見つけても、

トラ(トラック)にぶち込んどけ。

 

もしたら(燃やしたら)同じだ」

 

B「引っ張られるってのは何すか?」

 

A「引っ張られるんだよ。

あっち側に。

 

ああいう端っこが危ねえな。

気張ってやれよ」

 

B(釈然としない感じで)・・・はぁ。

じゃあ縛ってきます」

 

A「おう。しっかり縛れよ。

手ぇ抜くな」

 

夕暮れ時に聞いた、

ちょっと奇妙な会話でした。

 

古い家の解体の時には

こういう作法があるのだと、

 

妙に納得した次第です。

 

(終)

スポンサーリンク

あなたにオススメの記事


One Response to “鳶職人のベテランと見習いの奇妙な会話”

  1. 匿名 より:

    高所作業だし、重いもの使うから本当にちょっとの油断が危ないお仕事ですよね~…庭の手入れに木登りするだけでも怖いと言うのに。

コメントを残す

CAPTCHA


スポンサーリンク
サブコンテンツ

月別の投稿表示

カレンダー

2024年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

【特集】過去の年間ランキング

(2022年1月~12月)に投稿した話の中で、閲覧数の多かったものを厳選して『20話』ピックアップ!
【特集】2022年・怖い話ランキング20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
アクセスランキング

このページの先頭へ