怨みが引き起こした我が家の怪事件
私がまだ実家で生活していた頃、
度々金縛りや怪奇現象に遭っていました。
ある日の晩、
ベッドの上で本を読んでいた時でした。
突然に身体が引っ張られ、
ベッドから落ち、
そのままドアの近くまで移動。
ビビりながら足元を見ると、
ドアから異様に長い腕が生えているのです。
しかも、
私の足首をしっかりと
握っているのです。
これはヤバイと感じた私は
知っている限りのお経を唱え、
死んだひいばあさんに助けを求めました。
それでも足を掴まれている感覚は
なくなりません。
じりじりと引っ張られ、
足の裏にドアが当たったところで
気絶したのか、
気がついた時には、
腕はありませんでした。
まだ外も暗かったので
寝直すことに。
そしてウトウトし始めた時でした。
隣の妹の部屋から、
物凄い家中に響き渡る絶叫が・・・。
もしや、さっきの腕?
そんなことも頭に浮かび、
ベッドの上でパニックに陥っていました。
程なく父親が妹の部屋に着き、
「何だこれは・・・」
という声が聞こえました。
父に呼ばれ行ってみると、
妹はベッドの上で泣いていました。
片足が3倍くらいに
腫れ上がっていました。
すぐに救急車で病院に運ばれ、
下された診断は複雑骨折。
妹はベッドの上で寝たまま
足の骨が砕けていたのです。
「女の人が物凄い力で足を掴んだ・・・」
妹は父にそう言ったそうです。
その話を聞いて、
ハッとした私は自分の足を見ました。
私の両足首には、
手形は付いていませんでしたが、
10センチ幅くらいの水ぶくれがありました。
そして、
妹の足にも同じものがありました。
結局、妹は3ヶ月くらいで
退院出来たのですが、
それからが大変でした。
当時高校1年だった妹ですが、
度々学校で問題を起こすようになりました。
自宅でも同様でした。
何かに怯え、
自傷を繰り返すのです。
困り果てた私たち家族は、
メンタルクリニックに妹を連れて行きましたが、
悪化するばかりでした。
その頃、
近所では火事が続いていました。
妹が骨折したのが5月22日。
最初の火事が6月22日、
8月22日、10月、12月、2月と。
出火原因は様々でしたが、
地図上で確認すると三角形を作るように
火事が起きていました。
ある一軒の家を取り囲むように・・・。
さすがに3件目あたりから
偶然じゃないと囁かれ始め、
2月の火事の後、
自治会で御祓いが行われました。
御祓いの席で私たち姉妹は
一番前に座らされました。
私は妹が暴れ出したりしないかと
ハラハラものでしたが、
御祓い自体はあっさりと終了。
その後に語られたことには、
かなりショックを受けました。
40数年前、
あるイカレタ男が隣町で
事件を起こしたそうです。
連続強姦殺人。
強姦し、
刀を使って女性をメッタ刺しにし、
山に遺棄していたそうです。
犯人は死刑になっていませんが、
その男の生家はまだ残っています。
それが火事の中心になっていた家です。
もし犯人が死刑になっても
怨みは残っていたようで、
今回こういう事態に陥ったと
霊能者は語りました。
そして私たちに話が及びました。
犯人が使った刀は、
我が家から持ち出されたモノだったそうです。
祖父は心当たりがあるらしく、
血の気が引いた顔をしていました。
犯行に使われた刀の対の刀があるから
手放しなさいと言われ、
祖父はすぐ自宅から刀を取って来て、
霊能者に託しました。
そして霊能者は、
「あなた方姉妹はこれからも
見る事になるでしょう。
お姉さん(私)は大丈夫。
妹さんは少々心配ですが、
護りをオロシタからもう大丈夫」
・・・と。
護りをオロシタという意味は不明ですが、
それからの妹は自傷行為もなく、
平和に暮らしています。
一方、
私は相変わらず見えることがありますが、
被害はありません。
(終)