神社の小道から続く先で見つけたもの 2/2

防空壕

 

またしてもAが率先して、

中に入ろうと言い出した。

 

断わってビビりだと思われるのも嫌だから、

仕方なく中に入った。

 

月明かりも一切届かない洞窟だった。

 

中はジメジメしていて、

水滴が垂れている所もあった。

 

距離は思ったより短く、

それだけが俺の救いだった。

 

一番奥はほんの少しだけ広く造られていて、

寛ぎのスペースのようになっていた。

 

俺達はもちろん寛げるような心境では

なかったが・・・

 

とりあえず無言になりながらも、

懐中電灯で何かを探した。

 

何かここに来た証拠を、

持ち帰りたかったのかも知れない。

 

各々が地面を照らしたり、

壁を見たりしていた。

 

Aは靴で地面を蹴って、

土を掘り返したりしていたと思う。

 

でも俺は壁のある一点を見て、

目が釘付けになった。

 

それがちょうど俺の目の高さ、

俺の顔のすぐ側にあったからだ。

 

湿った土の壁から、

 

白くて細い何か得体の知れない棒が

2~3本突き出していた。

 

震える手を押さえて少し上を照らすと、

今度は白くて丸い器のようなものが見えた。

 

テレビとかでしか見たこと無かったけれど、

土でひどく汚れていた。

 

俺は瞬間的にそれが何かを理解した。

 

指だった。

 

人の指と、

きっと頭の骨だった。

 

俺は生きてきた中で一番でかい声で叫び、

それから走って逃げた。

 

みんなも俺に同調して、

走って追いかけてきた。

 

誰かが転んだらしく、

 

「待ってくれ~」

なんて声も聞こえたけれど、

 

無視した。

 

俺は一刻も早く家に帰って、

寝なきゃいけないと思った。

 

家に着くなり布団を被り、

ブルブル震えながら眠った。

 

次の日の朝、

 

親にバレてこっぴどく怒られたけれど、

心底ホッとした。

 

学校でもあの時の話はしなかった。

 

俺が見たのが何なのか分からないし、

それに、本当に見たのかも分からなかった。

 

だからひょっとしたら、

 

たまたまそれっぽく見えた白い石・・・

だったのかも知れない。

 

怖い怖いと思う俺が見た幻・・・

だったのかも知れない。

 

冷静に考えれば警察などの調査で、

そんな骨を見逃すはずはないとも思う。

 

そう思って俺は一度だけ、

真昼間に確認しに行った事がある。

 

でも、確認できなかった。

 

何故か、どう頑張っても、

あの夜の防空壕は見つからなかった。

 

信じる信じないは自由だが、

ここへ行くなら気をつけてほしい。

 

俺は現在まで、

これより怖い事態に陥ったことはない。

 

(終)

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