モモンガの一生というお話

本

 

古い短編漫画『モモンガの一生』

というお話がある。

 

魚や兎が人間のように暮らしている、

そこは架空の世界。

 

食糧危機が問題になっている近未来。

 

人間に近い体を持ちながら、

 

どんな生物の子供でも産めるという

種族の美しい女がいた。

 

女は沢山の生物と交配し、

 

生まれた子供が可愛くないと、

調理して食べてしまった。

 

しかし、

 

人間との交配によって生まれた少女は

母親である女に瓜二つで、

 

女はその愛らしい少女を気に入って、

育てることにした。

 

女は食料危機の時代であるにも関わらず、

飲食店を経営していて金持ち。

 

少女は何不自由なく育てられる。

 

そんなある日、

 

高価な服を着て外を散歩していた少女は、

追い剥ぎに襲われて服を奪われてしまう。

 

そこへ吸血鬼の少女が現れ、

少女に服を分け与えてくれる。

 

それ以来、

二人は親友になった。

 

吸血鬼は人間さえいれば血が吸えるので、

食料には困っていなかった。

 

女が経営している飲食店は実はインチキで、

そのことがバレて女は飲食店を奪われる。

 

一文無しになった親子は、

食糧危機の危機感を味わうようになる。

 

やがて発情期を向かえた少女は

吸血鬼と相談して、

 

子供を産むならこの食糧危機を乗り切れる、

強い生物の子供が良いと考えた。

 

そして物知りの男から、

 

「この時代で一番強い生物はクラゲ。

 

クラゲは食料が無いと、

自分の身体を小さくして生き延びる」

 

という話を聞いた少女は、

クラゲの家へ忍び込み、

 

眠っているクラゲと交配しようと

圧し掛かった。

 

翌日、家に帰って来た少女の身体は、

何故かクラゲと同化していて、

 

全身が透けた少女の胸には、

赤い心臓が透けて見えていた。

 

怒り狂った女はクラゲの家へ押しかけるが、

クラゲの一家は葬式の最中。

 

「お前の娘が圧し掛かったせいで、

この子は潰れて死んでしまったんだ」

 

と、逆に涙ながらに抗議された。

 

怒りが収まらない女は

クラゲ達を殺そうと襲い掛かり、

 

逆に殺されてしまう。

 

・・・その後、

 

クラゲの様な身体になってしまった少女は

吸血鬼と相談し、

 

流行っていない水族館の水槽に

入れてもらうことにした。

 

少女はそこで長い間、

ただ何もせずに過ごした。

 

時折来る客が物珍しそうに少女を眺めたが、

 

吸血鬼が様子を見に来て、

少女に「随分小さくなったね」と言った。

 

水族館の外の世界では

荒廃が進んでいるらしく、

 

やつれた吸血鬼は、

 

「最近は血を吸える人間も見当たらない」

 

と愚痴った。

 

そこへフラフラと人間が訪れ、

 

吸血鬼は久々の食事だと喜んで、

その人間を殺して噛み付いた。

 

しかし、

 

殺した人間の肌には

奇妙な斑模様が浮いていて、

 

それを見た吸血鬼は、

 

「しまった!感染者だ!」

 

と叫んだ。

 

吸血鬼は吐血して死んだ。

 

水槽の中の少女は何もすることが出来ず、

親友の死にただ涙を流した。

 

時が過ぎ、

少女の身体はどんどん小さくなっていった。

 

吸血鬼の死体は腐って白骨化し、

水族館の中は薄汚れていった。

 

吸血鬼が付けていた腕時計だけが

長きにわたって時間の経過を示していたが、

 

それもいつしか壊れて動かなくなった。

 

『この後、彼女がどれだけ生きるのかは

誰も知らない』

 

というモノローグで終わる。

 

そして、この話を考えたのは、

当時の小学生だという。

 

(終)

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One Response to “モモンガの一生というお話”

  1. 匿名 より:

    これモモンガじゃなくて「モモンゴの一生」らしいですね。

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