深夜2時、街灯の下に佇む母と子
10年ほど前の出来事。
当時はいつも夜遅くまで遊んでいて、その日も自宅に帰り着いたのは深夜の2時頃だった。
ちょっとジュースでも飲もうと、自宅前の自販機に小銭を入れて何を買おうか迷っていたら、ふと人の気配を感じた。
すると、10メートルほど先の街灯の下に、親子のような2人組いることに気付いた。
俺が見たものは何だったのか?
髪の長い母親と思わしき女性が傘を差し、カッパを着た幼稚園児くらいの子供の手を握り、ずっと街灯の前にある家の方を向きながら佇んでいた。
「何してんだ?」と頭を捻りながらも、そこまで気に留めることもなく、ジュースを買って自宅に帰った。
が、部屋でゴロゴロしている時、ハッと気付いた。
雨なんか降っていなかった。
それに、こんな時間に子連れ・・・。
なんだか急に怖くなり、その日は明かりを点けたまま寝ることに。
翌朝、母親にそのことを話すと、かなりビックリしていた。
なんでも、その街灯の前にある家の奥さんは、3年ほど前に子供を連れて蒸発したらしくて。
母親は、「帰って来たのかねぇ」と言っていたが・・・。
その後は特に何の情報も無く、また何日か過ぎていった。
それから1ヶ月ほど経った頃、市役所にある使用禁止の焼却炉から『燃え残った人間の骨』が見つかった。
しかも、その骨の残骸は2人分あるらしくて、大人と子供のものだったという。
焼却炉は当時からさらに5年ほど前には使用禁止にされていたので、いつ燃やされていたのかも、誰の骨なのかも特定は出来なかった。
ただ、母親たちの間では、その街灯の前にある家の”主人”を疑っていたが・・・。
(終)