短冊に書かれていた少女の切ない願い事

七夕 短冊

 

今年で9歳になる美咲ちゃん(仮名)は、去年の七夕の日に笹で指を切ってしまった。

 

傷は大したことなかったのだが、運悪くバイ菌が入ったらしく、傷口が化膿し始めた。

 

慌てて医者に見せたが一向に良くならず、美咲ちゃんは日に日に衰弱していった。

 

そして一年後の7月7日の七夕の日、病院のベッドに横たわっている愛娘に母は訊いてみた。

 

「何かお願いすることは?美咲のお願い事はお母さんが短冊に書いてあげるから」

 

すると、美咲ちゃんはこう答えた。

 

「来年の七夕まで生きていられますように、って書いて」

 

母は涙が止まらなかった。

 

母は愛娘の願いを短冊に書き、さらに自身の短冊にも『美咲が一日も早く元気になりますように』と書いて笹に掛けた。

 

ふと笹を見ると、陰に隠れるように一枚の短冊が掛けられていた。

 

そこには美咲ちゃんの字で『二度と七夕が来ないように』と書かれていた。

 

(終)

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