私の中にある「母を殺せ」という感情
子供の頃の記憶。
物心ついた時から、母が嫌いで嫌いで仕方なかった。
母は性格も良く、人に慕われ、親としても文句のない優しい人。
けれど、何故か母の声を聞くだけで怒りが湧き、中学になる頃には「殺したい」という感情で一杯の自分がいた。
そう思う原因は何もなく、ただただ心の内側から自然にそういう感情が湧き上がっていた。
私のやることなすことが母を追い詰め、悲しませ、意識しない行動でも最終的には母にダメージを与える結果になる。
そして、成人してから『見える人』に出会った時にこう言われた。
「○○さん、親元を離れた方がいいよ。お母さん嫌いでしょ?言い難いんだけど、今まで何度生まれ変わっても、○○さんはお母さんの子供として生まれているみたいなんだ。いつの時もお母さんの命を狙ってる。でも成就していない」
なんでも、母も私も男として生まれた時代は、常に戦争のある世の中で混乱期の国。
母が治める立場にいて、私はその座から母を引きずり落とし乗っ取ろうとするけれど、最後はその野望を利用され、他者に陥れられて母を殺せず自分が先に死ぬはめになっているらしい。
それを聞いた時、客観的に見て人間の出来た母を何故憎むのか、「殺せ」という感情が沸くのか、なんとなく納得できた気がした。
こんな感情はおかしいと思って、今は母から離れて穏やかに過ごしている。
世間で理不尽な殺人のニュースを聞く度に、もしかしたら生まれた時から持っている宿命的な感情というものがあって、それが原因で起こる事件があるのかも知れないと思った。
(終)
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