どうやら俺は猫らしい
これは、猫にまつわるちょっと不思議な話。
俺は生まれて此の方、猫と暮らしている。
それも途切れたことがなくて、拾ったり貰ったりで今は5匹目の子だ。
そんな猫たちは、どうも俺を『猫扱い』する。
俺には兄弟が二人いるのだが、俺にだけ活きのいいネズミをプレゼントしてきたり(これで狩りの練習をしろということらしい)、俺が髪をとかしていると母にブラッシングの催促をして張り合ってくる。
他の兄弟たちに聞けば、そんなことは全くないそうだ。
さらに先日のこと、野良猫にまでエサを譲られた・・・。
そういった話を友人たちとご飯を食べに行った時に語ったところ、坊さんになったヤツが笑いながらこう言った。
「お前、たぶん魂が猫なんだよ。前世は畜生道で猫をやっていて、現世では人間道にランクアップしたわけだ」と。
坊さんの友人は続けて、「滅多にいないだろうが、輪廻の中で畜生道から人間道に上がる者もいるだろう。逆は多いがな」と付け加えた。
※六道(ろくどう)|参考
仏教において、衆生がその業の結果として輪廻転生する6種の世界(あるいは境涯)のこと。六道には6つある。天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道。このうち、天道、人間道、修羅道を三善趣(三善道)といい、畜生道、餓鬼道、地獄道を三悪趣(三悪道)という。(Wikipediaより抜粋)
「魂が猫って・・・」と他の友人たちが笑っていると、その坊さんの友人は、「この世も捨てたもんじゃないな。お前が坊さんになれば、名前を残せるくらいになったかもしれないな」と嬉しそうに言っていた。
どうやら俺は猫らしい。
不思議な話だ、まったく・・・。
(終)