押入れを開けるとそこには・・・
小学生の頃、姉が習っているピアノの発表会があったんだけれど、私は学校があったので見に行くことが出来なかった。
帰りは夜7時くらいということだったので、私は学校から帰ったら母が作っておいた夕飯を食べながら留守番をするはずだった。
だけど当日、学校でお腹が痛くなってしまい、放課後まで保健室で休ませてもらってから担任の先生が家まで送ってくれることになった。
もし一人で帰宅していたら・・・
家に着いて、「まだ寝ていた方がいい」と先生に言われ、布団を出すのを先生が手伝ってくれると言うので、姉と私の部屋に行って押入れを開けた。
すると、見知らぬおじさんと目が合った。
先生と私は一瞬目が点になった後、叫び声を上げて部屋から逃げ出した。
おじさんもビックリして窓から逃げて行った。
逃げた後には包丁とロープのようなもの、おじさんの靴が残っていた。
先生が警察に通報して、母と姉が帰って来るまで一緒にいてくれて事情を説明してくれた。
後日、おじさんは警察に捕まった。
3軒隣の40代の男で、今でいう”引きこもり”だったらしい。
おじさんの部屋からは、小学生女児と思われる写真や盗聴器なんかが見つかったと聞いた。
盗聴器は、近所くらいの距離ならコードレスホンの電波を拾える物だったらしい。
留守番するはずだった前日、母が電話でお向かいのおばちゃんに「私が一人で留守番する」という話をしているのを聞いて、イタズラ目的で窓の鍵を壊して入り、押入れに潜んでいたらしい。
あの日、具合が悪くならなくて一人で帰宅していたら・・・と思うと、今でも怖い。
(終)