彼女の陰でのあだ名は『最終兵器』
私の大学時代に凄い人がいた。
仮にその人を宮下さんとしておくが、宮下さん自身は小柄で線の細い普通の女性なのだ。
だが、彼女の陰でのあだ名は『最終兵器』。
その由来には、幾つかのエピソードがある。
<エピソードその1>
宮下さんは高校時代にコンビニでバイトをしていた。
そのコンビニは「幽霊が出る」と噂され、多数の目撃情報もあり、夜間はまったく来客がなかった。
だが、宮下さんがバイトに入った途端、幽霊が一切現れなくなった。
その功績からか、宮下さんは他のバイトよりも多めに給料をもらっていた。
<エピソードその2>
宮下さんの友人が肝試しから帰ってから度々自室で男の幽霊を見るようになり、宮下さんに泣き付いた。
宮下さんが友人の部屋に一泊すると、それきり幽霊が現れなくなった。
<エピソードその3>
不動産会社を経営する叔父に頼まれて、あるマンションの一室で一晩過ごした宮下さん。
翌日、叔父から謝礼として大金を渡されて、昨晩過ごした部屋は自殺者が出た部屋だと知らされた。
<エピソードその4>
旅行先で立ち寄ったお寺の住職が宮下さんを見るなり、「あんたには龍神さんが加護として付いとる!」と言われて拝まれたという。
オカルト絡みのトラブルの最終兵器、宮下さん。
だが彼女はその力を特に利用することもなく、現在は旅行会社のOLとして普通に働いている。
(終)