体の自由を奪われた代わりに得た能力
うちの親族は女だけが結構『霊感がある』家系のようで・・・。
中でも、私の叔母さんが一番ずば抜けている。
これは、そんな叔母さんがある日に突然倒れた時の話。
見舞いに行ったけれど、完全に寝たきり状態だった。
体も全然動かない。
頭はしっかりしているけれど、といった状態。
なのに、病院でどれだけ調べても「どこも悪くない」とのことで、親族皆で首を傾げていた。
そして不思議なことに、叔母さんは体の自由を奪われた代わりに、変わった能力が身についてしまった。
“予知”というのか”透視”というのか、その人を見ただけで、その人の人間関係がどうで、今日会った人間がどうで等々のことが、全て頭に浮かんでくるようになってしまったそう。
誰々さんは何日に市役所に行ったとか、あの人はいつ死ぬとか。
テレビを見ていても、この政治家は次の選挙に落ちるとか、そういうことを全て見抜いてしまっていた。
他にも、宮崎勤がちょうど捕まった時(1989年頃)、叔母さんは「この人の家族は可哀想に。お父さんは自殺して、お母さんは・・・」と、全て言い当ててしまっていた。
でも体が動かないのだから、そんな特別な能力も全然嬉しくない。
そんな生活がしばらく続いていた頃、叔父さんは考えた末にこう言った。
「そもそもあいつが倒れたのが突然すぎる。あの時に何かなかったか?」
叔父さんはその時、工事現場の跡地から『小さな石の塔を拾ってきた』ことにハッと気がついた。
叔母さんが倒れたのは、その直後だった。
すぐに叔父さんはその石の塔を元の場所に戻しに行き、よく祈って帰ってきた。
しばらくして、叔母さんは急に元気になり、寝たきり状態から回復した。
ただ、その超能力もどきのようなものも一切消えた。
怖いというより、不思議な出来事だった。
未だに時々思い出す。
(終)