開けてはいけない部屋がある事故物件

 

これは知人が実際に内見した、とある物件の怖い話。

 

私は関西の大学を出て東京に１０年以上住み、その間に２度引っ越しました。

 

同じ大学から東京に来た面々も、久しぶりに会って話すと大抵一度は引っ越しをしていて、物件選びの話になりました。（同じ建物にずっと住んでいる人が一名いましたが･･･）

 

話が盛り上がると、誰が始めたのか『事故物件』の話に。

住むなら開けるのはこれで最後

私も東京へ来たばかりの時に、池袋駅徒歩５分の事故物件を内見していました。

 

その物件は、ひと月前に中国人の方が亡くなり、血も綺麗に掃除されているとの事でしたが、唯一ある窓の外が壁で異様に雰囲気も悪く、やめた覚えがあります。

 

そんな経験もあるので、他の人の事故物件の話には興味津々でした。

 

一通り聞いた話や不動産屋の知り合いの話などが終わった後、ある者が「俺、最近引っ越しの時、それ系のもん見たわ」と言い出しました。

 

皆が食いつきました。

 

その彼が言うには、そこは広さのわりに異様に安かったので、不動産屋に「ここを見たい」と言ったそうです。

 

しかし、「お勧めしません。実質使える部分が広くないので･･･」という答えが返ってきたそうです。

 

その時点で”これはヤバイ”と思ったそうですが、「とりあえず見てみたい。行けそうならそこにするかも」と言ったそうです。

 

すると不動産屋は、何度も聞いたセリフという顔をして渋々承諾しました。

 

その時点で知人は、”大勢が見てからやめた”という事に気づいたそうで、やっぱりやめようかとも思ったそうですが、大した事がない可能性もあるので結局は行ったそうです。

 

物件周りは、まず最初にハズレからという不動産屋の提案で、いきなりそこへ行ったそうです。

 

入る前に間取り図を見せてもらい、２３区内のそこは３６平米（約２３畳）くらいの広さの物件で、それでいて家賃が４万円弱でした。

 

入り口からまっすぐ廊下で、右にまず水周り、次に右に引き戸、まっすぐ進むとキッチンで、Ｌ字に右に曲がると最初の引き戸と同じ部屋（リビング）に通じる引き戸、突き当たりに一部屋という構図だったそうです。

 

ですが、その最初の廊下とリビングの引き戸にＬ字に囲まれている一番大きな部屋が問題で、「開けるな」との事でした。

 

住んでいる間に開けてはいけないという事は、実質使える場所が半分という事になるので、知人はさすがに”脅かしすぎだろう”と思ったそうです。

 

実際に物件に入ると、とにかく薄暗い。

 

壁紙が白なのに、空気にセピアの色がついた感じだそうです。

 

一通り部屋を案内された後、不動産屋が問題の部屋を見せると言ってきたそうです。

 

「開けるのは良くないが、とにかく見ないと分からない。でも、住むなら開けるのはこれで最後」

 

そう言われた知人は、不動産屋が引き戸を開けるのを一歩引いて見守っていたそうです。

 

開けると、畳の部屋だったそうです。

 

一歩前に進むと、強めの口調で「あ、入らないで下さい！眺めるだけ」と言われたそうです。

 

すぐ続けて「左の仏壇は見ないで下さい」と言われ、目の端に黒い仏壇が閉じて置かれてあるのが分かったそうです。

 

知人曰く、「戸を開けた瞬間に物件内の空気が重くなり、すぐに出てもおかしくない空気になった。一人であそこにおるのは想像もできん」という事でした。

 

その後に、「今回開けるのはしょうがないけど、入ったらアウト。仏壇は見るのもアウトだけど、開いたら完全にアウト」と言われたそうです。

 

やはりそこに住むのはやめたそうですが、車に戻って安心した不動産屋から「死んでますよ」と言われたそうです。

 

詳しく聞けば、その部屋に入居した人が短期間で死んでいるのだそうです。

 

逃げ出した人も何人かいるという事でしたが、色んな人の話を統合すると、「廊下で頻繁に女に会う。玄関を開けたら角を曲がっていく後ろ姿が見える。追うと居ない」、「仏壇から老人が出てくる。出てくる時は動けない。出てきた瞬間にみんな飛び出して逃げている」。

 

この二つは共通していると言われたようです。

 

話は以上ですが、たぶん私でもこの物件はやめるだろうと思います。

 

最後に、「霊感とかそういう話はなかった。みんな見ると言っていた」とは知人の談です。

 

（終）