幽体離脱をした時の体験談
自分的には怖かった、中学1年の夏頃の実体験。
夏休みに入る少し前くらいのとても暑い日、朝起きたらなんだか体がだるい。
時計を見ると6時前。
そのまま寝ようとしたけれど、もう外は明るいし既に暑いしで、二度寝前に1階でなにか飲もうとベットから出るとさらに体がだるい。
部屋から出ようと向きを変えた時、さっきまで自分が寝ていたベットに何かがいるのに気づく。
ギョッとして見ると、俺が寝ていた。
「ーーーーーーーーーー」
しばらく固まる。
そして、俺は閃く。
「これ・・・幽体離脱じゃ?」
本体から離れるほど体が重くなる
俺のおじさんがよく幽体離脱する人(自称)で、「壁は通り抜けるよね。空?飛べる飛べる。離脱しやすい血筋ってのがあるらしいから、○○君もそのうち出来るよ!」と昔から聞かされていたこともあり、その時は全く怖くなく、むしろワクワクが止まらなかった。
とりあえず部屋の中で色々やってみる。
結果は以下のような感じだった。
まず、壁は通り抜けない。
空を飛べる以前に、普段より体が重い。
鉛筆や消しゴムは持てるけれど、鉛筆立てや教科書くらいになると持ち上がらない。
本棚や机など、うまく触れないものがある。
・・・と、かなりがっかりな感じだったけれど、自分の姿が周りからは多分見えていないというだけで、中学1年の俺には充分だった。
夏だからドアは開けっ放しだったので、部屋からは出られた。
けれど、体がさらに重くなる。
両親と妹が寝ている隣の部屋に、ドアが開いてたから入ってみる。
まだみんな寝ていた。
その隣の部屋はドアが閉まっていたので素通りする。
この時点で体の重さがかなりヤバい。
部屋に居た時とは比べものにならないくらいに。
多分だけど、自分の本体から離れるほど重くなっていた。
でも、もう二度と出来ないかもしれないし、ここは頑張って外には出ようと階段までなんとかたどり着き、降りようとしたら横の壁の中から何かが飛び出て来た。
背丈が俺の腰くらいの全身肌色の子供だった。
ずっとその子は俯いていたから、どんな顔かも本当に子供なのかも正直分からなかった。
その子が階段と俺の間に立ち、両手を広げて通してくれない。
でもなんとなくその子から悪意も感じなかったし、あまり怖いとも思わなかった。
「きっと今の俺はここまでなんだろうな~」となんとなく納得して、通してくれないし体も重いしで部屋へ戻ることにした。
帰りは楽なもんで、どんどん体が軽くなっていった。
そして自分の部屋に入ったら、凄いことになっていた。
さっきの肌色の子供のような子たちが、5~6人ベットの周りに群がっていた。
ベットの壁に面していない側の側面から3~4人、足の方に2~3人に分かれて、寝ている俺の体を囲んでいる。
ベットにうまく上れないのか、上半身を曲げて顔を突き出し、俺の体に触ろうと一生懸命に手を伸ばしてモゾモゾと動いている。
「なんかヤバい!」と感じたところで、汗だくでベットの上で目が覚めた。
起きた時間は6時を少し過ぎた頃だったと思う。
夢だと思いたいけれど、今でも鮮明に覚えているし、離脱していた時の実験に使った鉛筆や消しゴムの小物が机の上に散らばっていた。
(終)