たまにお金が降ってきただけの話
これは、たまにお金が降ってきただけの話だ。
小さい頃は姉と二人部屋だったが、部屋によく小銭が落ちていた。
1円玉に5円玉、そして10円玉。
そのせいで、「なんであんた達の部屋はよくお金が落ちてるの!大事にしなさい!」と、よく母に怒られた。
バイト先でもよくお金が降ってくるように
中学の時の事、トイレで踏ん張っていると気が付いたらトイレットペーパーの上に1円玉が山盛りになっていた。
同じく中学の時、合宿中にシャワーを浴びていたら、チャリーンと音がして10円玉が降ってきた。
その10円玉を拾って部活仲間に「落ちてきた」と話していたら、またチャリーンと天井から10円玉が降ってきた。
この20円は公衆電話で使った。
高校からは一人部屋になったが、数ヵ月に1回くらいか、思い出したようにお金が降ってきた。
バイト中にその事をチーフに話してみたが、チーフは「そんなの作り話じゃん」と笑った。
・・・が、その瞬間、完璧なタイミングでチャリーンと100円玉が降ってきた。
その時に無言でチーフと顔を見合わせたのを覚えている。
以降、バイト先でもよくお金が降ってくるようになった。
休憩中の事、飲み終わったコップの中に、1円玉が山盛りになっていることもあった。
この時もチーフが一緒だった。
「自作自演じゃないですよ!?」と言うと、チーフは「分かってるよ!」と怒った。
どうやら怖かったらしい。
この時期は自分の部屋にいる時も、月に1回くらいお金が降ってきていた。
降ってきた小銭はたまにボロボロのもあったが、昔のお金とかではなかった。
またある日、制服をクリーニングに出したら、「ポケットに入ってましたよ」と百円札も返って来たことがあった。
もちろん俺は入れてないし、百円札もこの時に初めて見た。
これは親戚の子が欲しがったからあげた。
その後、俺は大学に受かり、引っ越すことになった。
自分の部屋を片付け、勉強机も捨てようとして、机の上に敷かれていた世界地図をよけて驚いた。
下には大量のお札があった。
全部、旧札だった。
これには背筋が凍った。
不思議な事に、それまでは怖いと思ったことは一度もなかった。
家族は誰もこんな話を信じないので、「銀行に行ったら換えてくれるぞ!」と全く気にしていなかった。
その旧札は両親に預けて、俺は東京で一人暮らしに。
それからは、お金が降ってくることはなくなった。
高校の時のバイト先のチーフ曰く、「俺が前世で金貸しをしていて、貸した人が今になって返しに来ているのでは?」と推理していた。
チーフは俺と出会って以降オカルトに興味を持ち、いつの間にか前世やオーラにかなり詳しくなっていた。
俺が人生でもっとも影響を与えたのは、間違えなくチーフ、あなただろう。
特にオチもないが、実害も何もない、本当にたまにお金が降ってきただけの話。
(終)
類似した別の話
私は大学生の頃、京都で一人暮らしをしていたが、時々小銭が降ってきた。
部屋の隅に机を置いていたのだが、その前に座って作業をしている時によく降ってくる。
最初は、財布からこぼした拍子に服に引っかかった小銭が落ちているだけだと思っていたが、そのうち頭より上から落ちてくるのに気付く事がちらほらあり、終いにはあまり気にしなくなった。
降ってくるのは主に1円玉、5円玉、10円玉で、100円玉はかなり少なく、500円玉は記憶にない。
今は就職して横浜にいるが、小銭は降ってこなくなった。
実家にいた頃は、そんな現象はなかったと思う。
もしかして、京都には何かいるのか?
先日、京都に行って後輩と遊んでいたら、足元に5円玉と10円玉が落ちているのを指摘されて、ふと思い出した。
ちなみに、場所は左京区の下鴨神社から少し下った辺り。
(終)