友人は実はカラスなんじゃないかな
これを霊体験というのかどうかは分からないが、僕の友人である松本という奴について話したいと思う。(名前は仮名)
ある日、二人で一緒に歩いていたら、松本は僕の胸元あたりに左手を伸ばし、『止まれ』という感じで僕を制した事があった。
僕が「ん?」と思っていると、しばらくしたら空からペタッと何かが落ちてきた。
鳥のフンだった。
しかし、その時は「勘のいい奴だな」くらいにしか思っていなかった。
そしてつい最近、松本と飲みに行く事になった時、僕がコンビニのATMでお金を下ろしている間に、松本は小腹が空いたのか肉まんを買っていた。
僕らはコンビニを出て、松本は肉まんをかじりながら歩いていた。
すると、松本は歩きながら独り言のように「○○○か?え~、これか?」と呟いて、かじっていた肉まんをちぎって塀の上にポンと置くと、また歩き出した。
僕は「なんだろう?」と思ったが何も聞かず、しばらく歩いた後に振り返って後ろを見ると、ついさっき松本が置いた肉まんはもう無かった。
その時に僕は、以前に松本と他の友人らで釣りに行った時の事を思い出した。
松本は釣れた魚の何匹かを岸壁に置いて帰ろうとしていた。
誰かが「あれ要らないのか?俺もらうぞ?」と言うと、松本は「いや、後で取りに来る」と言った。
誰もが変だなと思ったが、大した事でもないからその場はみんなが「そ~なんだ」くらいの反応だった。
その後、それぞれが車に戻ると、車は鳥のフンだらけで真っ白になっていた。
ただ、松本の車だけは全く被害がなかった。
それで僕は最近になって思い始めたのだが、松本は実はカラスなんじゃないかな?と。
(終)