朝5時にかかってきた父からの電話
朝の5時、夜遊び好きの父からの電話で目を覚ました。
父に何かあったのかと慌てて出たが、ポケットの中でボタンを押したパターンのようだ。
面白いのでそのまま聞いてみることにしたが、どうも電話の向こうに父はおらず、性別不明の二人の話し声がする。
声は少し反響していて、豪快に水を流すような音も聞こえた。
話し声は最初、少し遠くて何を言っているのか分からなかったが、徐々にはっきりと聞こえるようになった。
ポケットの中にしては明瞭すぎる程よく聞こえるが、何故だか話の内容が分からない。
というか、単語が全く拾えない。
話し声は日本語ではなく、全く聞いたことのない言語だった。
かれこれ10分以上はその奇妙な会話を聞いていたが、急に怖くなって電話を切った。
その後すぐにかけ直すと、普通に父が出た。
これまた普通の飲み屋っぽい場所で、周りで父の友人の笑い声もする。
ポケットの中でボタンを押したというには、あまりにも場所の雰囲気が違った。
一応、「電話した?」と聞いたが、「してない」と予想通りの返事。
しかし、お互いの発着履歴は携帯電話に残っていた。
まだPHSを使っていた10年以上も昔の話。
(終)
パルディオ611S、未だに机の中にある。
簡単にモデムになる良い機種だった。