あそこは駐車しちゃいけないんですよ
これは、公共機関の市が結果的に認めた不思議な現象の話。
ある週末、夜景を見るために彼女を助手席に乗せて山へドライブに行った。
彼女がいることから、よく知っているコースを選んだ。
前回は半年ほど前に一人で来たこの道。
道を間違えて恥をかくことがないようにと、慣れたコースを選んだ。
そこに車を止めると・・・
順調に車を走らせ、いよいよ最高のビューポイントに来た。
ここは稜線にそって駐車場があり、車を降りなくても中から景色が見れる。
しかし、その日は週末・・・。
駐車場の空き待ちでズラリと車が並んでいた。
仕方なく、しばらくの間だけ待つことにした。
ところが、駐車スペースが1ヶ所だけポツンと空いている。
見る限り、特にその場所に不具合があるようには見えない。
地面はアスファルトでしっかりしているし、穴が開いているような部分もないようだ。
でも何故か、端から4台目のその場所だけが空いている。
時間が経っても一向に動きを見せない車の流れ。
業を煮やした俺は、車を降りて待機中の先頭車に、「どうしてあそこの空きスペースに車を入れないんですか?」と聞きに行った。
すると、その人曰わく、「あそこは駐車しちゃいけないんですよ」と。
「なぜ?」と理由を聞くと、「あそこに車を止めて自殺したカップルがあったらしい。それからは、あそこに車を止めると必ずエンストしたり急に発進して事故を起こしたり・・・」と不思議な現象を話し始めた。
その人は、まだ駐車禁止になる前にその場所に車を止めたことがあったそうで、車から出ようとしてもドアが開かなかったらしい。
無論、エンジンは切っていたし、ドアロックも解除していたとか。
興味半分で歩いてそのスペースまで行くと、アスファルトには『×』の印が書かれていて、『ここに車を止めないで下さい。〇〇市』と書かれたプレートを貼った柵が置いてあった。
少し離れた車からは見えなかったが、近づいて実際に市の名前が書かれたプレートや柵を見るとゾッとした。
一度、市に電話して真相を聞いてみたい。
余談だが、車に戻ると彼女はスヤスヤと寝ていた・・・。
(終)