出産間近の飼い犬の行方不明から3週間後
これは、犬にまつわる不思議な体験談。
かなり昔のことになるが、飼っていた雑種犬のハル(仮名)が身籠っており、「今日明日にも産まれそうだね」と親と話していた。
ハルは元捨て犬のため警戒心が強かったので、獣医さんから「出産前後はあまり構わないようにね」と言われいてた。
なので、必要最低限のお世話をして、小屋にバスタオルや古着を敷き詰めて出産に備えた。
ある朝、「産まれたかな?」と思いながらエサを持って小屋に行くと、“ハルがいない”。
散歩の代わりに庭に放すことがあったので、庭も探したがやっぱりいない。
そしてもう一度、小屋付近を探して気がついた。
敷き詰めていたバスタオルや古着も全て無くなっていた。
小屋とリードと水入れだけが残されていた。
慌てて親を呼んで近所を探し、近所の人にも聞いて回ったが、「誰も見ていない」と。
当時の私は学校が終わると、毎日のように山や空き家を探したが、ハルは何処にもいなかった。
それから3週間ぐらいが経った朝、窓から何気に小屋を見たら”ハルがいた”。
慌てて小屋に行くと、小屋にはバスタオルや古着が敷き詰めてあり、尻尾をフリフリしている母になったハルと、ちょこちょこと動き回る子犬が5匹いた。
親に報告して父が一応警察に連絡したが、「あの時に誰がハルを敷物ごと連れて行き、出産させて、3週間後に戻したのか?」、未だに謎のまま。
(終)