山の中で小人が住むような建物を発見
これは親父から聞いた、今はもういないおじいちゃんの話です。
おじいちゃんは戦中に安く山を買うことができ、5つほどの山を所有していました。
戦後は山の管理に勤しみ、他の仕事はしておらず、1日ずっと山にいたそうです。
ある日、あまり行く機会がない一番遠い山に野犬が大量発生していると聞き、数ヶ月ぶりに調査へ行くことにしました。
ただ、車道がなかったので歩きでの調査。
往復に数日はかかります。
誰が何のために作ったのか?
道中、途中にある小屋で一晩を過ごし、明け方にまた歩を進めました。
木々生い茂る山の中、早朝ということもあり、まだ薄暗い。
そして数時間歩いた後、異様な光景に驚きました。
突然、視界に『ミニチェアのように小さい2階建ての家』が現れたのです。
コンクリートで出来たその家は2階建てで、きちんと窓もあってガラスもはまっており、子供しか入れないような小さなドアもありました。
背伸びをすれば屋根にも手が届き、窓にはカーテンがかかっていて中は見えません。
高さ1メートル程の出入り口のドアにはドアノブがくっ付いていて、鍵がかかっているのか開かない。
おじいちゃんは、こう思ったそうです。
自分の山の中に、見知らぬ“小人が住むような建物”がある。
山の隅々まで点検して買ったわけではないので、もしかすると売り主がこういう建物があることを黙っていたのか?
しかし、車道もない山の奥に誰が何のために作ったのか?
調査を終えて帰宅後、売り主に連絡を取ってみたが、「知らない」と一点張り。
結局、その小さな家は放置してしまいました。
それから数年が過ぎ、おじいちゃんは死ぬ間際に、その話を繰り返し親父に聞かせてこう言ったそうです。
「ドアノブまで小さかったことが奇妙だ。あれは一体何だったんだ?絶対に今でもあるはずだから確認して来てくれ!」
しかし、ボケたのかと思っていた親父は、結局は行かずじまいだったそうで。
その山は私が小学校に上がる頃に他人に売ってしまったらしい。
この話を聞かされた時は、怖いというより不思議な感じでした。
ちなみに、おじいちゃんは山梨県に住んでいました。
(終)