うなされるように起きた日の不思議体験
これは1ヵ月ほど前、僕が体験した話です。
その日、とにかく嫌な夢を見て、朝うなされるように起きました。
夢の内容は、身体中にカマキリがまとわり付いて、必死に払いのけようとするものでした。
なんとなく変な夢を気になりつつも会社に出勤すると、事務所に入ってすぐの窓に大きなカマキリが引っ付いていました。
「おっ!なんとなく予知夢だ!」などと、昼間の会社で同僚に面白おかしく話したりしていました。
その日の夜、4~5人で飲みに行くことに。
そこは室内にあるビアガーデンで、男性用トイレは小用の便器が10個ぐらい、個室が5個ぐらいあったと思います。
そこでおしっこをしていると、金髪でそこそこイケメンの痩せたお兄さんが、小さい方に用を足しに入ってきました。
そのトイレ内は、僕とその人だけ。
個室の方は全部の扉が開いていて、誰もいません。
その時、誰もいない個室の方から「ワン!ワンワン!」と犬の鳴き声が3回、はっきりと聞こえてきました。
僕は用を足しながらも、見える範囲で犬らしき鳴き声のする方を見てキョロキョロしていると、金髪のお兄さんが僕に話しかけてきました。
「あっ、聞こえました?心配ないですよ。あれは俺の方ですから」
言っている意味がわからなくて僕は少し怖くなりつつも、どこかに犬がいるんじゃないか?と、半信半疑で辺りに犬がいないか探していました。
用を済ませ、少し個室の方を警戒しながら手を洗いに行くと、お兄さんがまた声をかけてきました。
「おにいさんはこっちでしょ」
そう言いながら2つある手洗い場の一つを顎で指しながら、トイレから出て行かれました。
そこで僕が手を洗おうとすると、中にカマキリがいたのです。
トイレを出てそのお兄さんを探し見つけると、まったく悪意のない笑顔で僕を見ながら微笑んでいました。
僕もなんとなくニコニコするしかありませんでした。
偶然だと思いますが、ほんのり不思議な体験でした。
(終)