鳥居の真横に建つマンションでの怪奇
これは、とあるマンションで起きている奇妙な話。
私の地元にある某神社は、お祭りと年末年始に黒山の人だかりになる以外、わりと静かな所だった。
聞くところによれば、元は結構広い敷地だったらしいけれど色々とあったようで、今はお社とその周辺(それでもちょっとした公園規模)のみに。
さらにその敷地にあった石碑や鳥居などは、ほぼそのまま道路や住宅街に残ったままになっている。
現在では道沿いにマンションが立ち並ぶ一角の道路に大きな鳥居があり、その鳥居の真下に道路が作られたので、そこを通る車は鳥居をくぐっている状況。
そんな場所で、奇妙なことが起きていると聞いた。
お社から見て左側に建っているマンション、それもちょうど鳥居の横棒が指している辺りの部屋だけが、なぜか人の出入りが激しいという。
その辺りの部屋に入居する人たちは、次から次へと病気をするか亡くなったりで、そこに長く住めないそうで。
そのマンション内の自宅で習い事の教室をやっていた奥様の話によれば、「トイレに行った生徒さんがね、『旦那さん、お休みでお家にいらっしゃるんですか?』って聞くのよ。私、独り身なのにね。鍵もかけてるから誰も入ってこないと思うんだけど、時々誰かうちの中を歩いてたのよねぇ」と。
いや、それが幽霊でも生きた人間でも問題かと思うのですが…と思った私。
そんな訳アリでも、そのマンションは市街地に建ち、駅や商業施設や学校などが近くて立地で良いからか、特に若い世代がすぐ入居するけれど、すぐに去っていくとか。
引越し屋さんがそのマンションに来ると、「ああ、またここか」と思うくらいには日常化しているそうなのに、不思議と御祓いなど、そういった話は一度も出てこないという。
年配の方々は、「あそこは境に近い所だから、ああいう所はよくないんだ」というようなことを言っているけれど、実際に起こっていることとの因果関係は今も不明のまま。
(終)