その事実を知った時は心底から恐怖した
これは、以前に住んでいたマンションでの話。
20世帯が住める独身向けワンルームマンションに住んでいたのだが、当時『自分以外に誰も住んでいなかった』ことを知った時は本当に怖かった。
そのことを知ったきっかけは、水道の検針に来たおばちゃんが親切にも教えてくれたから。
確かに、向かいの部屋と下の部屋は引っ越しの挨拶に行った時は留守だった。
なんでも、俺の部屋の上の上の部屋にあたる5階の部屋でサラリーマンが自殺か殺されたかしたようで、その時に住んでいた人たちが気味悪がって一斉に出払い、その後にのこのこと引っ越してきたのが俺らしい。
ただ夜中に寝ている時、誰かが階段を上がる足音や、部屋のドアを閉める音を何度も聞いている。
だから、まさか自分以外に誰も住んでいないなんて思いもよらなかった。
いつも帰宅は23時を過ぎていたのであまり気にしていなかったが、言われてみると、どの部屋もいつも夜は真っ暗だった。
試しに休みの日の20時頃に外からマンションを見てみたところ、明かりがついていたのは俺の部屋だけ。
まぁ実際には沢山の人たちが住んでいたりするのだろう。
もちろん家賃を払わなくていい人たちが。
(終)