丑の刻参りを誰かに目撃されると
これは、
以前に兄貴と一緒に、
丑の刻参りで有名な神社へ
行った時の話です。
※丑の刻参りとは(wikipedia)
丑の刻(午前1時から午前3時ごろ)に神社の御神木に憎い相手に見立てた藁人形を釘で打ち込むという、日本に古来伝わる呪術の一種。
その神社は、
とある山をしばらく登って
真っ暗な枝道に入り、
しばらく歩くと突然現れました。
境内には街灯が点いていたのですが、
青白い光を放っており、
逆に不気味でした。
僕たちは社の裏側にあるという、
問題の木を目指して奥へと進みました。
社の裏側は街灯の明かりも届かず、
僕らは懐中電灯で辺りを照らしましたが、
そこには無機質に木が並んでいるだけで、
問題の木らしきものは見つかりませんでした。
やっぱり単なる噂かぁ~と思い、
引き返そうとした瞬間、
ガサガサガサガサガサガサ・・・
木々に囲まれた奥の暗闇から、
何かが物凄い勢いでこっちへ
向かって来る音がしました。
「!?」
兄貴と目を合わし、
何も言わずダッシュでその場を去り、
境内を駆け抜け、
鳥居を越えたところで
二人同時に足を止めました。
噂によると、
丑の刻参りをしている人は、
その姿を他人に見られては
いけないらしいのです。
もし見られてしまったら、
その呪いが自分に降りかかるそうで、
それを食い止めるには、
その目撃者を殺すしかないとか・・・。
「んじゃ、ばっちり見てあげましょう!(笑)」
ということで、
僕たちは社の方を見張りました。
社から鳥居までの距離は約20m。
「安全距離だろ♪」
な~んて思いながら、
じっと社の裏から出て来るであろう何かを、
期待しながら待っていました。
ガサ・・・ガサ・・・ガサ
この神社は山奥にあり、
境内に街灯が点いているといっても、
神社の周りは深い暗闇に
包まれていました。
ガサ・・・ガサ・・・ガサガサ
その足音は次第に、
ガサガサ・・ザッザッザッザッザ!!
その暗闇の中から、
こちらへ走って来ました。
こりゃ~世界狙えるんじゃね?
というくらいの猛ダッシュで、
僕らはその場を後にしました。
もう、途中で立ち止まって
何かを確認しようなんて、
微塵も思いませんでした・・・。
(終)