見てはいけない二階にいる何か

階段

 

あれは俺が10歳の頃の話。

 

俺は冬休みに祖父母のいる秋田県へ

泊りに来ていて、

 

いとこのBやCと一緒に遊んでいた。

 

するとBが、

 

「立ち入り禁止になってる

2階に行こうぜ~」

 

と言い出した。

 

正直怖くて行きたくなかったが、

 

チキンと思われたくないので、

3人で2階へ行った。

 

2階に行くと、

右隅に扉が一つあった。

 

Bが確認しようとすると

中から不気味な声が聞こえたので、

 

怖くなった俺たちは、

急いで1階に戻った。

 

祖父が何事だと駆けつけたので

今起きたことを話したら、

 

「見たのか!

アレを見たのか!?」

 

と凄い剣幕で怒鳴りだし、

 

俺たちは声は聞いたけれど

中は見ていないと言った。

 

すると祖父は、

 

「・・・そうか。

 

とりあえず、もう二度と

2階には行くのをやめなさい」

 

と言った。

 

俺は祖父に中には何がいるの?

と聞いたら、

 

「お前たちが大人になれば、

いずれわかる存在だ」

 

とだけ言った。

 

その日の夜、

Bは震えながら言った。

 

「実はさ・・・

 

俺見ちゃたんだよな、

少しだけ・・・」

 

一体何を見たんだと訊いたが、

Bは「とても話せない」と言う。

 

それから家に帰るまで2階には上がらず、

特に変わったこともなかった。

 

あれから20年の月日が流れた。

 

今になって思うのが、

 

2階にいた『何か』の正体を、

なぜBは必死になって隠したのか、

 

祖父が「大人になればわかる」、

と言った理由がなんだったのか、

 

やっとわかった気がする。

 

俺も、その『何か』に

なってしまったからだ・・・

 

(終)

解説

あれから20年の月日が経った今、

俺がなってしまった『何か』とは・・・

 

『ひきこもり』である。

 

3人で遊んだあの時に

Bが2階で見てしまったものとは、

 

ひきこもってしまった

祖父の身内の誰かなのだろう。

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