その日から馬に憑かれた状態になってしまった
これは、私の友人が体験した『馬とおばあちゃん』の不思議な話。
もう10年くらい前になります。
彼女は昔からちょっとした霊感少女の気があって、「今日元気ないでしょ。気の色が薄くなってるよ~」と言う子でした。
ある日、彼女はこんな夢を見たそうです。
背丈が50センチくらいの小さなおばあちゃんが馬を連れていました。
おばあちゃんは「この馬を預かって欲しい」と言うと、すぐに消えてしまったそうで。
おばあちゃんは分かっていた!?
ただその日から、彼女曰く『馬に憑かれた状態』になってしまったらしく、髪の毛の伸びる量が半端でなく、実際に2ヶ月で10センチ近くも伸びていました。
それに、嫌いだった人参や他の野菜が大好物になったとかで。
それから2ヶ月くらいが経った頃、お正月に親戚のいる新潟へ行きました。
初詣に彌彦神社へ行ったそうです。(彌彦=いやひこ)
親戚一同10人くらいで境内に向かう参道の途中、ふと見ると小さな祠があり、何だろうと思って近くに寄ってみると古い馬の像がありました。
どうやら馬を奉ってある祠のようでした。
その瞬間、彼女はハッとして、あの時のおばあちゃんは私がここに来ることを分かっていて馬を預けていったんだ!と思い、財布から小銭を出して祠の前に置き、丁寧に参拝してみんなの所へ戻ったそうです。
新潟から帰って来てからは、憑いていた馬もいなくなったとか。
髪の毛の異常な伸び具合も止まりました。
その後、親戚が集まった時にその時の話になり、「あそこに馬の祠あったよね~」と彼女が言うと、親戚らは「そんなのは無かった」と否定したそうです。
そして親戚の一人が「初詣の時にビデオ撮ってたからそれで確認しよう」と言い、確認してみることにしました。
ピースをしたりはしゃいだりしながら、楽しそうに参道を歩く親戚一同。
砂利道を進む最中、「ここ!ここの右側だよ!」と彼女が言った時、映像の中の彼女は画面からひょいと右側に消えました。
そして「ほらここに祠が・・・」と言おうとした時、またすぐに彼女の姿が画面に戻ってきたそうです。
その間、僅か1秒ほど。
その後はまた楽しそうに歩く親戚らの姿が映されていました。
その1秒ほどの間ではとても、祠の中を確認して、財布から小銭を出し、お参りをする時間なんてありません。
結局、「あれは何だったんだろうね~?」なんて彼女は言っていました。
(終)
どうせ数年もすれば擦り切れるネタと分かっては居るが、
『シラオキさま』
の祠だったんだよ、きっと、うん。