観音開きの扉を開くとそこには
これは、私が子供だった頃の話。
うちの家の和室には、観音開きの扉がある。
それを開くと半畳ほどのスペースがあり、そこには亡くなった父方の祖父母の『写真』が飾ってあった。
普通なら仏壇があるようなところに、写真だけがある。
ある日、こんな夢を見た。
私はその和室にいた。
ふとその扉を見ると、いつもは閉めてあるのに、その時は扉が開いていた。
子供の私はその写真が少し怖かったので、閉めなきゃ!と思い、扉に近づいた。
すると、2枚の写真は2体のお地蔵さんに変わっていた。
私はゾクッとした。
怖くて動けないでいると、2体のお地蔵さんの右腕が、同時にスーッと上にあがった。
なんとも不気味な光景だった。
私はもう恐怖に耐えられなくなり、慌ててその扉を閉めようとした。
すると、「閉めるな!」と怒鳴り声がして、次の瞬間、強烈な金縛りに襲われた。
その頃の私はその他にもよく悪い夢を見たり、金縛りに遭ったりしていた。
同居していた母方の祖母は信心深い人で、「その写真を早く外に出してあげたほうがいい」と言った。
なぜなら、「その夢は亡くなった祖父母が、狭いところに閉じ込められているのが嫌だということを、私を通じて知らせにきたものだから」だと言う。
両親はそういうことには関心がなく、最初は聞き流していたが、渋々ながら写真を外に出してくれた。
それ以降、金縛りに遭うことは少なくなった。
(終)