同棲を始めた部屋での怪 2/2
なぜか風呂場に立っていて、
いきなり自分の髪の毛を
引っ張るのです。
そして何十本も抜けた髪を
ビニール袋に包み、
その後に足と指の爪を
歯で噛みちぎり、
それもビニール袋に入れました。
その後は歯磨き粉を付けずに
歯ブラシで歯を磨き、
磨き終わった歯ブラシも、
洗わずに同じビニール袋に
入れたのです。
すると、
誰かが帰って来ました。
何故か慌ててベランダに向かい、
そこで夢は終わってしまいました。
俺と彼女はかなりビビって、
大家さんに電話をし、
部屋に来てもらいました。
早速、大家さんに
昨日あった事を話すと、
何も知らないと言うのです。
納得のいかない俺は
大家さんにお願いして、
隣の部屋の鍵を
貸してもらいました。
そして大家さんと一緒に
隣の部屋を開けました。
部屋の中はいたって普通で、
ただの空っぽの部屋でした。
しかし、
風呂場に入った瞬間、
急に体が冷えました。
昨日見た夢の部屋と一緒だ・・・。
俺は気になって風呂場を
徹底的に探りました。
すると、
天井にある蓋が少しだけ
開いていたのです。
俺はビビりながらも蓋を開け、
中を覗きました。
中にはビニール袋がありました。
なにか嫌な予感はしながら、
恐る恐るに袋を開けました。
その中身は夢で見たものと
まるっきり同じでした。
長い髪の毛、
オレンジのマニキュアで
塗られた爪、
そして歯ブラシ。
俺と彼女の異変に気付いた
大家さんは、
どうしたの?と言いたい様な
顔をしていました。
俺は、このビニール袋を
夢でも見た事を話しました。
そのビニール袋は大家さんが
警察に届けてくれました。
それから2~3週間は
特に何事もなく、
普通に暮らしていたのですが・・・
ある日、
彼女がまた背中が痛い
と言うのです。
嫌な予感はしましたが、
気にせずその日は眠りにつきました。
次の日の夕方、
仕事から帰ってから彼女に、
また夢を見た事を話しました。
今回、
彼女は見ていなかったようで、
またこの日の夢も、
あの女の視点の夢でした。
まず、空っぽの部屋の窓際で、
裸のままうつ伏せになっていました。
しばらくすると顔を上げ、
俺らの部屋の壁の裏側まで
這いずって行きました。
その途中に何回か、
『ピチャッ、ピチャッ』
という音が聞こえました。
そして壁の前に着くと、
ゆっくり立ち上がりました、
この時に『ズルッ』という
音がしたのです。
すると壁に顔を近づけ、
『はぁ、はぁ』
と息を吐くのです。
そして壁に向かっていくと貫通し、
そこには女を見てビビっている、
布団に包まった俺がいました。
ビビっている俺は気絶したのか、
ぐったりとしていました。
すると、
俺の部屋に入り、
風呂場でいきなり
自分の髪の毛を引っ張り、
あのビニール袋の中身と
全く同じものを作り、
それを蓋の上に隠した後、
ベランダを摺り抜けていく
夢を見ました。
次の日、
朝一で俺の姉ちゃんに
その事を話すと、
わざわざ家まで来てくれました。
姉ちゃんは部屋に入ってすぐに、
口を開きました。
姉「これ、生き霊じゃない?」
俺「 え?」
姉「これ生き霊だよ、絶対。
前に隣住んでた人、男でしょ?」
俺「分からんから大家さんに
聞いてみるわ」
大家さんに連絡すると、
確かに男でした。
姉「いるんだよ、
こうゆうタチ悪い生き霊とか。
あんた引っ越すしかないよ」
そう言われ、
翌月に引っ越しました。
まぁ、近所に引っ越しただけ
なんですが・・・。
(終)