魂だけが体から離れて外を出歩く人
これは、私のヒイバアチャンの話。
ヒイバアチャンは生前、東北のド田舎に住んでいて、亡くなる数年前から歩けなくなって寝たきりだった。
だけど、田舎の人が俗に言う『歩く人』だったそう。
歩く人とは、魂だけが体から離れて外を出歩く人のこと。
村の中には、寝たきりだったはずのヒイバアチャンと道端で出会ったと言う人が何人もいて、ヒイバアチャンが歩くのは村ではかなり有名だった。
出会った人の話では、幽霊のように透き通ったりはしていなくて、普通に生きている人と変わらないという。
お盆やお正月に祖父母の家に遊びに行った折に、近隣の方がお茶飲みに来たりしていて、ヒイバアチャンの話をするのを何度か聞いた。
私もその血を引いているのだから、いつか幽体離脱が出来るようになれるかも知れない、と密かに期待していたりする。
(終)
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