おかしな独り言を連呼していた受験生
これは、大学受験を控えたある受験生の身に起きた話。
高3になった俺は受験勉強で疲れてるせいなのか、自分の部屋にいる時に『独り言』が多くなった。
初めの頃は、「くそっ、間違えてんじゃねぇよ」、「こんなの解らなくね?」など、普通と言えば普通の呟きだった。
だが、受験が近づくにつれて忙しなるのと一緒に、独り言もエスカレートしていった。
さすがに自分が怖くなった
11月になったふとある時、俺は「誰だと思う?誰だと思う?誰だと思う?誰だと思う」と、小さな声で連呼しているのに気づいた。
気づいたというよりは、なぜこんなことを呟いているのかと疑問に感じた。
なぜなら、無意識に、というわけではなかったからだ。
なぜか呟きたかった。
その時も、ただ疲れているからかな、と思っていた。
12月半ばになった時、今度は無意識に「誰?誰?誰 誰 誰・・・」と呟いていた。
時間にして恐らく5分程は呟いていたと思う。
その後も2次試験の日が近づくにつれ、「誰?誰?誰?」の独り言は多くなっていった。
さすがに自分が怖くなった。
疲れではない、と思った。
たぶん『霊的な何か』が憑依したのだ、と。
思えば最初の頃の独り言の、「くそっ、間違えてんじゃねぇよ」や「こんなの解らなくね?」などは、誰かに話しかけるようなものばかりだった。
もしかすれば、霊的な何かが話しかけていたのかもしれない。
ただ、俺は全く霊感がない。
我が家は婆ちゃんの家がお寺で、兄や母などはよく見ると言うが、俺はそういった体験とは無縁だと思っていた。
俺に霊感がないからか、霊的な何かは視覚でも聴覚でもなく直接憑依してコミュニケーションを取ろうとしていたのか。
結局、「誰?誰?誰?」という独り言は受験が終わるまで続いた。
そして、志望校に合格してからは一切起こらなくなった。
やっぱり疲れていたのかな・・・。
(終)