双子で生まれた私と兄の不思議な世界
これは、『双子』にまつわる少し不思議な体験話。
私と兄は二卵性の双子で生まれた。
環境的に近所に同年代の友達がいなくて、兄としか遊び相手がいなかったこともあると思うけれど、私の思ったことがそのまま兄も頭に浮かぶし、私も兄の思考が頭に入ってくる感じで、それが当たり前だと思っていた。
母が後年、二人が遊んでいるのを見ると、お互い無言なのに意思疏通が出来ているらしいのを感じて、少々不気味だからと幼稚園に入れられた。
そこで、”会話をしないと通じない世界”があったことにショックを受けたのを、今でも覚えている。
兄とは成長と共に男女の差もあって一心同体感は薄れたけれど、それでも中学の時に兄が体育の授業で骨折をしたら、別で授業を受けていた私にリアルタイムでその情報が頭に浮かんだ。
また私が発熱して保健室に連れていかれた時は、兄にその旨が頭に浮かんだとかで様子を見に来たりした。
今は中年になり、お互いに結婚もして、用事がなければ何年も会わないこともあったりと、一般的な兄妹と何ら変わらないと思う。
けれど今でも時々、生活と関係のない光景が頭に浮かんで、「兄貴、今旅行してる?」とメッセージを送ったら、正に目に浮かんだ場所に兄がいたり、逆に私が久しぶりに親戚に会っていた時に、兄から「今、〇〇の叔母さんと会ってるの?」的なメッセージが届いたりする。
(終)