心霊トンネルのドライブから一週間後

電話ボックス

 

これは、思い出すたびに長年ゾクゾクする怖い体験をした話。

 

私は中学生の頃、いつも同じ4人グループで仲良くしていた。

 

そのうちの1人の真奈(仮名)が少しだけ不良っぽく、ませていて、大学生と付き合っていた。

 

ある日、真奈が「彼氏から友達も呼んでドライブに行こうって誘われた」と言うので、みんなで行くことに。

 

当日は1人だけ来れなかったので、私たち3人と大学生たちも3人で、海までドライブしたり、色々な所へ寄ってワイワイ楽しく遊んだ。

 

その帰り道、あるトンネルの近くなると、大学生たちが「ここ、幽霊が出るらしいよ」と有名な心霊スポットであることを明かした途端、私たちはみんなでギャーギャーと騒ぎながら車で通った。

 

すると、トンネル内には小太りなおじさんが歩いていた。

 

みんなで「あの人が幽霊じゃない?」、「はっきり見えすぎでしょ」と少しふざけつつ、でもあまりに普通のおじさんだったし、歩行者用のスペースもあるトンネルだったので、まったく怖くはなかった。

 

けれど、そのまま通り過ぎようとした瞬間、おじさんがこちらに振り向き、「おい!お前ら!!」と何か大声で怒鳴りつけてきて、みんな一瞬ビクッとした。

 

ただ、追いかけてくる様子もなく、車の窓を閉めていたわりに声がはっきりと聞こえたことが怖かったくらいで、「何だったんだろうね?」とその日は終わった。

 

そのまま何事もなく普通に過ごしていたけれど、そのドライブから1週間ほど経った頃だった。

 

私たちが通っていた中学校は、門を出て左沿いに歩くと帰宅ルート、右沿いに歩くと公園や駄菓子屋のある寄り道ルートだったけれど、その日は寄り道ルートで帰ることに。

 

右沿いは学校の裏側で、少し行くと倉庫などが置いてあるひっそりとした所が見えて、角を曲がると数メートル先には公衆電話ボックスがある。

 

いつもの4人グループでダラダラ帰っていると、角を曲がった瞬間、大学生の彼氏がいる真奈が「うわ、ヤバイヤバイ。見て、あの公衆電話」と言った。

 

え?と思って見ると、なんとそこにはトンネル内で見かけたあの小太りなおじさんが…

 

ドライブに行った3人は「まじヤバイって!」、「いや、違う人じゃないの?絶対そうだって!」、「なんでここにいるの!?」と騒いだけれど、あのトンネルと中学校はすごく離れた地域で、関係もまったくない。

 

なのに、なぜのここにあのおじさんがいるのか本当にわからなかった。

 

それでも若かりし当時は、おじさんの区別なんて正直ついていなかったし、似ているけれど違う人だよね、いるわけないし、という気持ちでドキドキしながら電話ボックスの横を通り過ぎた。

 

すると、その瞬間にボックスのドアがバン!と勢いよく開き、「おい!お前ら!!」とあの時と全く同じように怒鳴られた。

 

私たちはもうめちゃくちゃ怖くて、おじさんの方は一切見ずにそのまま公園まで4人とも猛ダッシュして、その場から逃げた。

 

ようやく公園まで辿り着いた時、振り向いても誰もいなかったのでほっとした。

 

そのままその場に4人で座り込み、「何?あのおじさん、なんでいた?なんで怒るの?」と半泣き状態で騒いでいると、ドライブに来なかった陽子(仮名)が、「え?何?今のなんだったの?」と言う。

 

トンネルでのおじさんの話をしても、陽子は見ていないし、さっきの人と同じ人だとわからなかったんだなぁと思いながら、3人で必死に説明した。

 

すると陽子が、「なんかみんなが急に騒ぐし走り出したから着いてきたけどさ、電話ボックスに人なんていなかったよ?」と言ったのが本当に怖かった。

 

その後は何もなく、みんな無事に卒業した。

 

(終)

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