噂のあるトンネルを奥へ進んでいくと
これは、5年ほど前に体験した話です。
ある夜、友達数人で心霊スポットとして有名な『トンネル』に行った時のこと。
そこは100メートルはある長いトンネルで、お先は真っ暗。
みんなでダベリながら奥へ進んでいると、人影のようなものが見えました。
一瞬ビクッとなったのですが、どうやら反対側から入ってきた同類だったようで、すっかり仲良くなり「一緒に見て回らないか?」と提案してきました。
大勢で行った方が楽しいと思った僕たちは、その提案に乗ることにしました。
ですがその直後、僕たちの仲間の一人のカズヤ(仮名)が突然、入口に向かって走り戻ったのです。
もしかして何かに憑りつかれたのでは!?と思い、みんなで彼の後を追いました。
トンネルの入口に着くと、カズヤは車の中に閉じこもっていました。
僕「お前どうしたんだよ!急に走ったりして?」
カズヤ「お前らには言ってないけどよ、俺、1回ここに来たことあんのよ。あのな、このトンネルは途中で行き止まりになっていて、こっち側からしか入れねぇんだよ…」
カズヤがそう言った瞬間、全てを悟った僕も含めた他の友達らも慌てて車に乗り込み、そのまま帰路につきました。
それ以来、あのトンネルへは行っていません。
(終)