私の前に現れた女の子と男の子
これは、子供の頃の体験話。
当時七歳だった私は、母と一緒の部屋で毎晩寝ていた。
ある晩、ふと布団を捲りあげたら、『鬼のような形相をしたものが二つ』あった。
びっくりして布団から這い出て明かりをつけ、布団を覗いたけれど何もなく。
怖いながらも、その日は寝てしまった。
翌日、同じ時間帯にふと窓に目をやると、女の子が怖い顔をしてこちらを睨んでいた。
その時、私の体が動かない。
女の子は窓にベッタリと張り付いていて、どんどん恐ろしい形相に。
頭が真っ白になった頃、飼い猫が部屋に入ってきて、窓枠に飛び乗った。
その瞬間、体が動くようになり、そのまま就寝した。
それ以降しばらくは何もなかったものの、今度は夢の中に女の子と男の子が手に刃物を持って現れた。
二人の前で固まる私。
「お前なんか生まれなければよかったんだ!」
そう叫ばれながら、刃物を振り下ろされる私。
もうダメだ…。
そう思った瞬間、また飼い猫が女の子の顔に飛びかかり、さらに男の子を威嚇した。
勢いで飛び起きると、私をじっと見つめる飼い猫がそこにいた。
両親は、こういった話を信じない。
だから今まで変なことが起こっても何も言わなかったけれど、さすがに話をした。
すると母は二度、残念ながら流産してしまった経験があり、もし生まれていれば私の姉と弟だったそうで。
二人の供養も特にしていなかったそうで、私の話を聞いた翌日、急いでお寺に相談し、供養をしてもらった。
それ以来、女の子と男の子は見かけなくなった。
これまで親以外には話したことはなかったけれど、守ってくれた猫の命日にふと思い出したので。
(終)