久しぶりに家に訪ねて来た親友
A,B,Cは、
仲の良い中学生だった。
中学を卒業した3人は、
それぞれ別の道に進んだ。
最初は連絡を取り合って
遊んだりもしていた。
が、それぞれ
新しい生活が忙しくなり、
少しずつ疎遠になり始めた。
連絡を取らなくなり約一年が過ぎた、
ある日の事。
両親が旅行に行くということで、
Aは一人留守番をしていた。
その時、
不意に来客があった。
表に出てみると、
そこには懐かしい姿があった。
Bだった。
「よう!元気かね?」
元々陽気だったBは、
一年前と全く変わっていなかった。
「どうした?急に来るなんて」
「お前!久しぶりに親友が
会いに来たってのに、
その言い方はなかろうよ」
「すまん、すまん。
つい意外な来客だったから」
親友とは不思議なもんで、
どれだけ長い間会っていなくても、
会うとすぐにその時間を取り戻せる。
AとBはすぐに以前のような
親友に戻っていた。
「お前いいところに来たな!
ちょうど親が旅行中で今一人なんだ。
久しぶりに上がって行けよ」
「お言葉に甘えるとするか」
そしてAとBは
昔話に夢中になった。
あっという間に2時間は
経過していただろうか?
プルルルルル・・・
プルルルルル・・・
不意に電話が鳴った。
親かな?
そう思ってAは玄関へ
電話を取りに行った。
「もしもし」
「あ、Aか?俺だ。Cだ!」
懐かしい声だった。
「おいおい、
不思議な事もあるもんだな!
今ちょうどBが来てて、
お前の話もしてたところだよ」
「・・・?今なんて言った?」
「だからぁ。Bが来てて・・・」
「今、いるのか?Bは?」
「あぁ、いるよ。
相変わらずだよBは!
最後に俺らが会った時にさぁ・・・」
その言葉を遮るように
Cは話し始めた。
「なぁ、A。
そんなはずは無いんだ。
良く聞いてくれ。
俺が電話したのはな・・・」
嫌な沈黙の後、
Cはゆっくりと言葉を続ける。
「いいか!Bの家がな。
火事になったんだよ・・・。
それで・・・」
その言葉を聞き終わる前に、
Aはそのまま受話器を離した。
Bに伝えなきゃ。
家が火事だって。
ぶら下がった受話器から、
Cの声が微かに聞こえていた。
「それで、Bもその火事で・・・」
部屋に戻ろうと思い、
振り返った時そこには・・・、
全身焼けただれた
Bが立っていた。
(終)