漂流船に残された壮絶な記録 2/2
しかし、記録を調べるうちに、
奇怪な事実が浮かびあがった。
数十回に渡って
他の船に出合っていながら、
救助に応答する船は
一隻としてなかったことだ。
そして、吉栄丸は
太平洋横断の途中、
たった一つの島さえも
発見出来なかったのである。
しかし、
アメリカの貨物船ウエスト・アイソン号の
リチャード・ヒーリィ船長は、
次のように述べている。
「1926年12月23日、
シアトルから約1000キロの太平洋上で
波間に漂う木造船を発見したが、
救助信号を送っても
返事が無いので近づきました。
しかし、吉栄丸の船窓や甲板に立って
こっちを見ていた10人ほどの船員は、
誰一人として応えず、
馬鹿らしくなって引き上げたのです」
だが吉栄丸の記録に、
このことは書かれていない。
一体、彼らには
何が起こっていたというのだろうか。
(終)
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